2019年01月18日
不適切な毎月勤労統計調査に伴う「2019年度政府予算案」の修正に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸
- 閣議決定後の予算案の修正は極めて異例な事態
1月18日、政府は、厚生労働省による不適切な毎月勤労統計調査の問題に対応するため、2019年度政府予算案の一般会計を修正し、追加給付に必要となる国庫負担分の6.5億円を上積みすることを閣議決定した。2004年以降の毎月勤労統計調査を本来とは異なる手法で行ってきたことにより、雇用保険や労災保険等において570億円程度の追加給付が発生する。今回の予算案の修正は、追加給付に対する国庫負担分を措置するためのものである。政府は、昨年12月21日に2019年度の予算案を閣議決定していたが、閣議決定後の予算案の修正は極めて異例な事態である。
- 雇用保険や労災保険等の迅速かつ正確な支給手続きを
今回、追加給付となる対象者は雇用保険で延べ約1,900万人、労災保険で延べ約72万人、船員保険で約1万人、事業主向け助成金等で延べ30万件に上る。しかしながら、これらの対象者が、追加給付の対象に該当しているかを自ら判断することは容易ではない。加えて、1,000万人以上の受給対象者の住所が不明であるという状況も踏まえれば、追加給付の支給にあたっては、対象者に対して可能な限り丁寧かつ分かりやすい周知を行うとともに、迅速かつ正確な支給手続きの実施が求められることは言うまでもない。政府には今回の事態を重く受けとめるとともに、組織を挙げた対応を求める。
- 一般会計からの事務費の拠出と雇用保険の国庫負担割合の速やかな本則復帰を
追加給付に必要なシステム改修などの事務費として、2019年度の96億円を含め、今後195億円が発生するが、こうした費用は、国の不適切な調査がなければ本来は必要なかったことを踏まえれば、その全額を労使で負担する財源から拠出することは納得し難く、一般会計からの拠出も検討すべきである。また、雇用保険制度の財政基盤を支えるために、国庫負担の割合は雇用保険法において4分の1となっているが、現在は足下の雇用情勢等を勘案し暫定的にその割合が引き下げられている。今回の不適切な毎月勤労統計調査への対応に関わらず、速やかに法律本則に復帰させるべきである。
以 上