事務局長談話

 
2019年01月11日
厚生労働省による不適切な毎月勤労統計調査に対する談話
日本労働組合総連合会

事務局長  相原 康伸

 

  1. 厚生労働省による毎月勤労統計の不適切な調査は極めて遺憾
     1月11日、厚生労働省は、2004年以降の毎月勤労統計調査において本来とは異なる手法で調査が行われ、調査結果における賃金額が低めに出ていたため、雇用保険や労災保険等において570億円程度の追加給付を行うことを発表した。毎月勤労統計調査は、全国にある3万以上の事業所(企業)を対象に、労働者1人当たりの現金給与総額(名目賃金)や物価変動の影響を差し引いた実質賃金などの動向を把握するために実施している国の重要な基幹統計の一つである。今回、「500人以上規模の事業所」については、全数調査するとしていたところ、東京都内の対象1,464事業所のうち491事業所を抽出調査していたことに加え、抽出調査結果を統計的処理として復元(母集団の調査結果として扱うための計算)していなかった。政府全体の各種施策の策定に及ぼす影響は計り知れず、長年にわたり調査計画や公開資料とは異なる方法で調査が行われ続けてきたことは極めて遺憾である。
     

  2. 適切な調査結果にもとづく雇用保険や労災保険等の速やかな支給が必要
     毎月勤労統計調査は、雇用保険の失業給付や、仕事によるけがや病気で労災認定された際に支払われる休業(補償)給付などの算出に使われている。今回、追加給付の対象となる可能性がある方として、雇用保険関係での基本手当や育児休業給付、労災保険関係での遺族(補償)年金などの年金給付に加え、船員保険の障害年金、事業主向け助成金の雇用調整助成金などが挙げられている。また、今後は関連するシステム改修や受給者の住所確認などの準備を経て順次追加給付を開始するとしているが、システム改修には相当の期間が必要であることに加え、住所が不明となっている受給対象者も多いことなど、今後の対応にも課題が多い。雇用保険や労災保険などの制度は、言うまでもなく労働者の重要なセーフティネットであり、適切な調査結果にもとづき速やかに支給されなければならない。
     

  3. 政府統計に対する信頼を回復するための措置が必要
     今回の問題は、政府の基幹統計に対する信頼を低下させることに加えて、諸外国からの日本の統計結果に対する信頼をも毀損しかねない由々しき問題であり、今後こうしたことが繰り返されないためにも徹底的な原因究明や経過説明が求められる。また、厚生労働省のみならず、各省庁が実施している統計のあり方についても今一度検証を行うとともに、統計法を改正し、行政への監督強化の仕組みを導入するなどの再発防止策が必要である。連合は、政府統計に対する信頼を回復するための措置を早急に講じることを強く求めていく。
      以 上