2019年01月11日
中教審「学校における働き方改革特別部会」答申案に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸
- 学校における働き方改革の着実な進展による長時間労働の是正が不可欠
本日、中央教育審議会「学校における働き方改革特別部会」(座長:小川正人放送大学教養学部教授)は、「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(答申案)」(以下、答申案)を取りまとめた。答申案では主に、連合の主張に沿った法的根拠のある「勤務時間の上限に関するガイドライン」や健康管理体制の強化、業務の明確化・適正化、各種業務支援策などが提起された。答申案に示された様々な施策を徹底することにより、学校における働き方改革を着実に進展させ、教員の長時間労働を是正することが不可欠である。
- 給特法のあり方についての継続的な議論が必要
連合が再三にわたって主張してきた労働基準法第37条の適用を含む給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)の抜本的な見直しがなされなかったことは遺憾である。一方で、答申案の「中長期的な検討」の事項には、給特法などの法的な枠組みについて引き続き審議を重ねる旨が盛り込まれた。政府は長時間労働の是正に向けた施策の効果検証を確実に行うとともに、給特法のあり方についても継続的な議論をしていくことが必要である。
- 1年単位の変形労働時間制を導入可能としたことには疑義が残る
答申案では、学校の働き方改革を進めるための方策として、1年単位の変形労働時間制の導入が挙げられている。連合は、教員が年間を通して多忙な状況の中では、同制度が本質的に長時間労働を是正する施策となりうるのか疑問であり、精緻な検証にもとづく慎重な検討を求めてきた。結果として、全国一律ではなく、地域の実情に応じ地方自治体が条例を制定することとされたが、期待される効果があいまいなまま1年単位の変形労働時間制の導入を可能としたことは問題である。
- 引き続き、教員の長時間労働是正に向けた取り組みを強化
「勤務時間の上限に関するガイドライン」や1年単位の変形労働時間制は、給特法改正案として2019年の臨時国会に提出され、2021年度の施行をめざしている。しかし、教員が授業に専念するための業務削減や小学校の専科教員・中学校の部活動指導員の増員など、予算措置等によりすぐに着手できる施策は一日も早く実行すべきである。一方で、2020年度以降に予定している学習指導要領の全面実施により、教員の業務負担増が懸念される。連合は、教員が心身ともに健康に働くことで教育の質を確保できるよう、真摯な国会審議を求めるとともに、給特法の抜本的な見直しを含む教員の長時間労働是正に向けた取り組みを引き続き強化していく。
以 上