事務局長談話

 
2018年12月26日
厚生労働省「複数の事業所で雇用される者に対する雇用保険の適用に関する検討会報告書」に対する談話
日本労働組合総連合会

事務局長  相原 康伸

 

  1. 複数就業時の雇用保険適用について検討が行われたことは評価
     本日、厚生労働省「複数の事業所で雇用される者に対する雇用保険の適用に関する検討会」(座長:岩村正彦 東京大学大学院教授)は、「複数の事業所で雇用される者に対する雇用保険の適用に関する検討会報告書」(以下、報告書)を取りまとめることとした。本検討会は、複数の事業所で雇用される者(以下、マルチジョブホルダー)に対する雇用保険の適用について、専門的・技術的観点から検討を行うために有識者のみで構成された検討会である。就労者保護の観点から、マルチジョブホルダーに対する雇用保険の適用について検討が行われたことは評価したい。
     

  2. 適用と給付の両面から検討するも具体的な制度設計の方向性は明言せず
     報告書では、雇用保険の適用と給付の両面から検討が行われている。適用の観点からは、①合算した週所定労働時間が20時間以上となる場合に適用する「合算方式」、②現行の適用基準である週所定労働時間20時間そのものを下げる「基準引き下げ方式」、給付の観点からは、③4週間に一度の失業認定にもとづく「基本手当方式」、④一時金として支給する「一時金方式」を示している。その上で、現時点で実行可能性がある方式としては、「適用:合算方式・申出起点適用、給付:一時金方式」とされたものの、具体的な方向性は明言されなかった。一方で、仮に雇用保険の適用を推進していく場合は、財政影響等も勘案しながら試行的に制度導入をはかることも考えられるとされた。
     

  3. 弱い立場の者の保護をはかる視点が不可欠
     マルチジョブホルダーの実態は、生活費補填のためにやむを得ず副業・兼業を行っている者が少なくない。一方で、マルチジョブホルダーへの労災保険による保護のあり方についても、今後検討が行われることとなっている。また、「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会」において、現在、実効性のある労働時間管理等のあり方について検討が行われている。まずは、制度の対象労働者を正確に捉えた上で、弱い立場の者の保護をはかる視点が求められる。

  4. すべての雇用労働者にとってのセーフティネットとしての機能を
     報告書では、制度化の議論を行う場合は、労働政策審議会において積極的な議論が行われることを望むとされている。連合は、マルチジョブホルダーが置かれている状況を十分に踏まえた上で、雇用保険制度がすべての雇用労働者にとってのセーフティネットとして機能するものとなるよう、その実現に向けた取り組みを強めていく。
    以 上