事務局長談話

 
2018年12月08日
入管難民法改正法案の可決・成立に対する談話
日本労働組合総連合会

事務局長 相原 康伸

 

  1. 国会において十分な審議は尽くされず
     12月8日未明、参議院本会議において、入管難民法改正法案が可決、成立した。法案は、人手不足の分野において、「一定の専門性・技能を有し、即戦力となる外国人材」を受け入れるための、新たな在留資格「特定技能」の創設を主な内容とする。日本社会のあり方や雇用・労働条件に大きな影響を及ぼす政策の転換であるにもかかわらず、2019年4月施行にこだわり、国会においても十分な議論が尽くされないまま、法案が可決・成立に至ったことは誠に遺憾である。

  2. 劣悪な労働環境におかれる懸念は払拭されていない
     法案の国会審議では、技能実習生について、最低賃金を下回る低賃金や過労死ラインを上回る長時間労働など、多数の失踪事案の状況も含め劣悪な労働環境におかれている実態の一端が明らかになった。「特定技能」は、技能実習制度に類似した仕組みである。転職が可能とはいえ、職探しや新たな住居探しに際しての困難さから、職を移ることは容易ではなく、劣悪な環境に留め置かれることが懸念される。また、新たに設置される出入国在留管理庁が、労働関係法令違反について適切に指導し、多様な意見や価値観を調整して共生社会を実現できるのか、甚だ疑問である。
     

  3. 労働者保護の実効性を担保できる制度を構築すべき
     今後、「基本方針」、「分野別運用方針」および省令において、人手不足の判断基準や受入れ分野、技能レベル等の詳細が定められる。制度検討に際しては、国内人材確保の取り組みを十分に行った上での受入れなのか、開かれた場で国民の理解を得ながら検討すべきである。加えて、日本人との同等報酬の確保や悪質なブローカーの排除、労働関係法令を遵守しない受入れ機関に対する厳正な処分など、実効性を担保するための制度構築、都道府県労働局など関係機関との連携強化など、参議院法務委員会附帯決議で示された内容も十分に踏まえた検討を行うべきである。

     

  4. 日本で働くすべての労働者の権利保護に向けて取り組む
     連合は、政府に対する要請をはじめ、シンポジウムの開催やアンケート調査の実施など、世論喚起の取り組みを行ってきた。国籍を問わず、日本で働くすべての労働者は労働者としての権利が保護されなければならない。同時に、外国人労働者は、地域社会でくらす生活者でもある。日本語教育、公共サービス、多文化理解などの共生施策を、十分な予算を確保して国が責任を持って実施すべきである。連合は、外国人労働者からの相談支援、組織化に取り組むとともに、日本で働くすべての労働者が安心して働き、くらせる環境の実現に向け、構成組織、地方連合会一体となり、取り組んでいく。
    以 上