りきおのオピニオンスタジアム

 
2015年1月13日
第43回「なんとなく・・・」ではダメなんです

~いわゆる「リーク記事」が平然と~

 雇用・労働に関わる様々な項目の法制化議論について、昨年末あたりからちょくちょくと、「こうなることが固まった」とか「素案が決まった」等々の記事が散見されます。先週などは、労働時間法制に関わる内容が多くの新聞でいっせいに取り扱われました。
 私たちからしてみると、本来、審議会での議論や国会における運営・審議で慎重に決められていくべきこれらの内容が、途中段階で突如アドバルーンのように世に放たれることに少なからず違和感と疑念を持つところです。しかも残念なことは、一部の例外を除いてほとんどの報道が、与えられた情報をそのまま載せたり、あるいはその内容を持ち上げるような解説を付けたりで、問題点に対する指摘があまりみられないことです。
 この種のいわゆるリーク記事は、大新聞で大きな見出しと活字を躍らせることによって、読者に、「なんとなくこうなるのだろうな」という心象を与えてしまいがちです。情報を漏らしている人たちもそういう効果を期待しているのでしょうが、そういう手法で既成事実化させることで、多くの大事なこと、本質的なことが置き去りにされることは、非常に問題があると言わざるを得ません。

 労働時間法制に関していえば、私たちの主張は、あくまでも長時間労働の抑制策推進です。過労死と認定されるケースだけでも毎年100件以上も生んでしまうような状況はなんとかしなければなりません。それこそ「なんとなく良くなりそう」ではダメなのです。具体的にどういう歯止めがかかるのか?どういう根拠で事態が改善されると判断できるのか?・・・報道された内容でそれらが明らかになっているといえるのでしょうか?
 新聞報道に期待されることは、情報を無批判に流すことではなく、そういう「なんとなく・・・」の認識では見過ごされてしまうことに目を向け、精査を図っていくことや、それを促すことなのではないでしょうか?

~「なんとなく・・・」が日本をダメにしている~

 いわゆるホワイトカラーエグゼンプションを肯定する論調の中によくあるのが、新しい制度を入れないとダラダラ残業がなくならないというものです。 しかしこれ、なんかおかしいと思いませんか?
 本来残業というものは上司が部下に対して下命をして初めて成り立つものです。これこれの目的のためにこういう仕事をしてください、定時を超えることになるが、それでもこういうアウトプットが必要なので頼みます等々。
 ダラダラ残業になってしまっているとしたら、それはすなわち上司がどういう指示をしているのか、どういう働き方をさせているのかの問題です。
 なんとなく任せていて、なんとなく働いていて、みたいなことが長時間労働を蔓延させているのではないでしょうか。それはまさに上司・部下のコミュニケーションの問題であって、そのことに正面から向き合うことのないままに労働時間法制を改編したとしても、長時間労働は減らないでしょうし、ましてや生産性が上がるはずもありません。むしろ過労死の危険は増すばかりだと思います。

 本質的な問題から目を背けて雰囲気に押し流されるこの種の「なんとなく・・・」が日本をダメにしているのではないでしょうか。

(神津)

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