りきおのオピニオンスタジアム

 
2014年11月4日
第34回「非日常を伝えること」と「本質を伝えること」と

~「非日常」のインパクト~

 日本銀行が31日の金融政策決定会合で大胆な追加金融緩和を決定しました。長期国債の買い入れを現在の約50兆円から30兆円積み増すことをはじめ、世の中に出回るお金の量をさらに大幅に増やそうというものです。
 各メディアは大きく反応し、株価も7年ぶりの高値を付けました。「ちょっと普通じゃないぞ」というインパクトを持たせることによって大きな効果を持たせたものと言えるでしょう。
 しかし今回の決定は、政策委員9人中4人が反対という異例の決定でした。金融の現場やそれに近い方々が反対に回ったということも気になります。相当大きな賭けに出たということだけは間違いないようです。
 そして同日、まるで後を追うようにしてGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)から、投資先の配分比率(基本ポートフォリオ)を国債から株式に大きくシフトするという見直しが発表されました。(国債の比率は約60%から約35%へ)
 私たちの大事な年金資産の運用が、私たちの声を反映することもなくこのように変更されることについて率直な疑念を持つとともに、それが金融政策の賭けの大きな荒波に放り出されることについても不安を持たざるを得ません。

~「本質」が伴わなければ、リスクだけが増大する~

 日銀もGPIFもこれまでの流れとは不連続な「非日常」をアピールすることには優れているようです。株価もこれでしばらく好調を維持するかもしれません。
 しかし私たちが懸念するのは、本当の意味で経済が上向かないと、この反動は非常に恐ろしいものになるのではないか、ということです。
 そういった動きの一方で私たちは、30日~31日にかけて春季生活闘争討論集会を開催し、デフレ脱却・経済の好循環実現のためには、全ての働く者の底上げ・底支えがなくてはならないことをあらためて確認しました。とりわけ中小企業の底上げや、パート・派遣・有期で働く方々の労働条件の向上、そして、低処遇からの脱却に向けた業種ごとの取り組み強化等です。
 このような「本質」の追求こそがデフレ脱却・経済の好循環実現には不可欠です。もし本質が伴わずに表面づらの賑わいだけが続くならば、「賭け」のリスクは極大化します。そういう意味でも、私たちの2015春季生活闘争は、想像を絶するほど重たい意味を持つ取り組みとなります。

~「本質」をわかりやすく伝えていこう~

 私たちが労働者派遣法の改悪に反対しているのは、そういった「本質」の問題とも大きく関わっています。ただでさえ「生涯派遣で低賃金」という傾向の強い派遣労働に対し、その実態を放置するのみならず、どういう仕事でも何度でもとっかえひっかえで派遣労働者を都合よく使うことができるようにしてしまうなどということが、本当に許されていいのでしょうか?
 10月29日には国会前で述べ750人の仲間と、本法案成立阻止に向けた座り込みを行いました。連合として6年ぶりのことであり、まさに「非日常」のインパクトを持たせたつもりですが、報道は新聞二紙とテレビ一局が取り上げてくれたにとどまったようです。私たちはネットの活用を含めて「非日常」を伝えていく努力をもっと強めなければなりません。
 そして何より重要なことは、この問題の「本質」をわかりやすく伝えていくことです。「生涯派遣で低賃金」の働き方を増やしていくことは、不幸な立場の労働者をさらに増大させるとともに、世の中全体を冷やし、後戻りのできないわが国の「賭け」を破たんに導く元凶となってしまうのではないでしょうか?

(神津)

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