りきおのオピニオンスタジアム

 
2014年7月28日
第26回「多様な意見をまとめていく・・・民主主義の前進とは?(その2)」

~錆びついた頭をフル回転させました~

 連合本部では3か月に一回、定期的に土曜日を使って、会長・会長代行・副会長・事務局長・副事務局長をメンバーとする三役会にて集中審議の時間を持ち、じっくりと時間をとったなかでの研鑽・討論の場を持っています。一昨日も、私たちを取り巻く人口減少という状況をめぐって、様々な観点から各分野での論客をお招きし、朝10時から夕方17時までという大学並のカリキュラムで、やや錆びついた頭に油を注入しフル回転させる一日を過ごしました。
 そこで得られた数多くの示唆に富んだ内容については、随時触れていきたいと思いますが、ここでは石水喜夫氏(大東文化大学 非常勤講師)の講義のなかで得られた、私なりの受けとめを述べておきたいと思います。

~時代はつながっている~

 最近私は人前でいろんな話をさせていただくとき、「時代はつながっている」ということをしばしば強調しています。要は、昔起きた事柄を単に過去のこととして片付けるのではなく、そこでの教訓を自分たちの世代の問題として活かすことが非常に大事だ、という思いです。
 石水氏の今回の指摘に関しても、まさにそのことの重要性をあらためて感じました。氏の主張の導入部で語られた内容は、今この日本で起きている様々な事柄が、消費税引き上げという問題を含めて、1995年当時からの様々な状況や政策論と非常に似ている、ある意味で同じことを繰り返しているともとらえられるということです。
 詳しい内容を展開する紙幅はこのコーナーにはありませんが、講義のなかでも度々引用されたご著書の『日本型雇用の真実』(ちくま新書)を是非参照していただきたいと思います。
 あらためて読み返してみて私は、「労働」が「経済」を構成する主要な事柄であり、それだけに、働く者の気持ちや意欲がそこに整合していくことがなければ持続的な発展にはつながらない、との思いを強くしました。

~常に広範なメッセージを出し続けていくこと~

 氏の語り口は、純粋な学問的発想に端を発しつつ、「働くこと」の持つ人間性や社会性に対する洞察を通じて、世の中がまともな方向に向かうための道標を志向する熱意に満ちたものです。  当然ながらその線に沿わないことについて、氏は辛口です。当日の講義では触れられませんでしたが、この本のなかでは、1995年当時、旧日経連の『新時代の「日本的経営」』の雇用流動化論に対する連合の反論が、労働条件の形成に関わる問題の一点に絞られてしまい、結果として力を失ったとの分析がなされています。
 私は当時の連合内部での政策検討には全く関わっていないので実際のところはわかりませんが、それなりに視野を広くとった議論はなされていたのではないかとも類推します。しかし教訓的にこのあたりの経緯を振り返るならば、やはり連合という存在は、社会全体の事柄に深くかかわる広範なメッセージを強く発信し続けていくことが不可欠と考えます。前回私は、多様な意見をまとめていくのが民主主義の神髄であると申し上げました。連合がその一員として深く関わっていくためには、常に社会の様相を的確にえぐり出し、全ての働く者のために何が必要なのか、そして日本の経済・社会のために何が重要なのかをしっかりと発信し続けていかねばなりません。
 自分自身の気持ちをあらためて引き締める良い機会とさせてもらいました。

(神津)

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