りきおのオピニオンスタジアム

 
2014年6月16日
第22回「こだわりの力はいったいどこに向かっているのか」

~小手先で外資の歓心をよんでも長続きはしない~

 政府が月内にまとめるとしている「成長戦略」に関わる報道が数多く出されています。雇用の分野では、労働時間規制の適用を外し、働いた時間ではなく成果に応じた給与をもらう働き方を広げる、という内容が示されています。 これまでにも何度か触れてきましたが、本当に不可解な内容と言わざるを得ません。現在の制度のどこが問題でそれをどのようにしたら何が改善されるというのか、私にはさっぱりわからないのです。机上の議論としか感じないのです。現場の状況を知悉している労使の議論を中心に据えないからこういう内容になってしまうと思うのです。

 直接携わっている方々は、それでも成長戦略としての格好はつくと思っておられるのかもしれません。メディアのなかにも、「より多くの労働者に広げるべき」などという論調さえあります。しかしそこには根本的な誤りがあると思います。

 [1] 最大の問題はブラックの働かせ方を助長する危険性です。働き過ぎの罠にはまってしまう日本人の弱さにつけこむ経営者があちこちにいるではありませんか。残念ながら、毎年100人以上の方が過労死で亡くなっています。これが現状です。「成長」以前の問題です。まず政府が取り組むべきは、「残業代ゼロ」ではなく、国民の生命と健康を守ること、「過労死ゼロ」ではないでしょうか。
 [2] 新しい施策によって「だらだらとした働き方」がなくなるという言い方もされていますが、眉唾です。労働生産性が云々されますが、往々にして問題なのはマネジメントの質の方ではないでしょうか。あるいは構造的問題や不公正な取引慣行等、いくら働いても儲からないという背景があるのではないでしょうか?

 そもそも成長戦略は、日本の本来の強みを掘り起こす内容を主眼とすべきです。小手先で外資の歓心をよんでも長続きはしません。

~「政労使会議」でのこだわりはどこへ行ったのか?~

 そして経済の好循環を実現することこそ本質的な経済対策であり、最大の株価対策だと思います。昨年、春闘前段での「政労使会議」でみせた安倍政権の、賃上げに対するこだわりは、今どこへ行ってしまったのでしょうか?とりあえず昨年を上回る賃上げ集計が出たからホッとしているということでしょうか。 本当に肝腎なのは今からです。中小企業で働く方々や、パート・有期・派遣の形態で働く、多くの方々の財布がもっとうるおうようになって、はじめて経済の好循環が真実味を帯びてくるのです。
 そのためには、最低賃金の大幅引き上げは必須の課題です。近日中には中央最低賃金審議会が開催され、来月にかけての小委員会での熱い議論に向けたスタートがきられるわけです。そしてさらに各都道府県段階及び産業別に展開を図っていくことになるのです。私たち連合は、それぞれの場面において、労働側委員としての責任を果たしていきます。そしてそれを支えるべく、全国各地での街頭宣伝を含め、世の中にアピールしていく所存です。

 雇用・労働政策と経済の好循環の問題は、粘り強い一貫性がなければ、かけ声だけの空砲に終わってしまいます。政権にも一貫したこだわりをみせていただきたいと思います。民間の労使交渉に「介入」すれすれととられるようなパフォーマンスをみせたぐらいですから、最低賃金について、もっと何かメッセージが聞こえてきてもいいんじゃないでしょうか?

(神津)

6月16日朝の街宣行動でアピール

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