りきおのオピニオンスタジアム

 
2014年4月14日
第16回「『ご託宣』にひれ伏すのが日本の民主主義か?」

~タテ割りの弊害が目に余る日本の行政~

 個々にみれば優秀な官僚で構成される日本の行政が、縦割りの弊害によってその力を打ち消しあっている、あるいはマイナスの結果を生じてしまっていることはよく言われることです。

 その一つの結果が、1000兆円を超える借金を抱えてしまうような財政運営です。自分のところさえ予算を確保すればいいというような編成を40年間の政治が許し続けてきたことのツケです。

 また、人の問題もそうです。支出の抑制が縦割り的・一律的に行われる中で様々な矛盾を生じてきています。短期的な契約による非正規職員の増大もその一つでしょう。一方では、ブラック企業を退治すべき労働基準監督員の増強が思うように進められないような硬直的運用も困ったものです。

 いずれも私たち働く者、生活者、納税者の立場からして由々しきことですが、今、雇用・労働に関わるルールの問題についても懸念が高まってきています。見過ごすことのできない問題です。

~私たち国民は「白紙委任状」を預けたのか?~

 あっちでもこっちでもいろんな会議がつくられ、いろんな省庁の方々が、いろんな検討をしていて、いったい何をどういう風に考えていこうとしているのか?私たちにとってみれば「政府」はどこの誰であろうと「政府」なのであって、そのなかで一元的に責任を持って意見をやりとりできる相手はいったいどこの誰なのか?

 そういう問題を抱えた様々な土俵のなかで、どういう基準で選任されたのかよくわからない一部の方々の意見で、雇用・労働の新たなルールの大枠が決められようとしています。しかもそのなかには非公開の話し合い、つまりは密室の談合で進められているものもあるようです。

 行政とは本来、国民の代表たる立法府が決めたことを執行する機関であるはずが、今は、トラならぬ総理の威を借りて、様々な思いつきを既成事実のように決めてしまう、そういう状況なのではないでしょうか?

 これは、衆参ともに圧倒的な勝利で成立した現政権だからこその状況ということなのでしょうか?私たち国民は「白紙委任状」を預けたということなのでしょうか?

~「ご託宣」を待つしかないのか?~

 こういう決め方にはそもそも大きな問題があります。

 まず、雇用・労働に関わる問題は本来、政労使の三者構成で決めていくという、ILO(国際労働機関)の考え方を無視しているということです。日頃グローバルスタンダードを標榜している方々が、ここだけは知らんぷりを決め込むというのはどういうことなのでしょうか?

 手続きが問題ならば、なかみも問題です。

 実際の雇用の現場でいったいどのようなことが起きているのか?それらがもっと精緻に、質的にも量的にも客観性を持って語られるべきではないでしょうか?そのもとで、それらの本質をよくわかっている労使の最前線の意見が的確に反映されるべきなのではないでしょうか?

 私たち労働組合は、憲法で保障された団結権のもとに組織され、労働組合法に定められた民主的な手続きにより役員選出や方針決定を行っている団体です。そしてそのもとで、働く者の声を代弁し、民主主義を体現している組織であることを自負しています。

 私たちの国の民主主義とは、働く者の声を無視した「ご託宣」をひたすら待つことを良しとしてしまう、そんなものなのでしょうか?

 私たち働く者は、今、危機的な状況に置かれているのです。

(神津)

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