りきおのオピニオンスタジアム

 
2014年3月10日
第11回「透明性と民主主義」

 7日(金)に行われた法務省の法制審議会・新時代の刑事司法制度特別部会の第25回目において、一般国民の立場の委員5人が連名で、取りまとめに向けての意見を提出しました。翌日の新聞・テレビでも報道されましたし、今後法務省のホームページにもアップされると思いますが、とりあえず本文をここに添付しますのでご参照ください。私自身その5人のなかの一員でもあり、その思いを若干述べておきたいと思います。(添付資料「新時代の刑事司法制度特別部会 取りまとめに向けての意見」

~取り調べの可視化が中心課題~

 この部会は、現在厚生労働省の事務次官を務めておられる村木さん(今回の5名のなかの一人)が冤罪で160日以上も拘留されたあの「郵便不正事件」が発端となり、検察当局が自己改革を目指したことを発端としたものです。新時代の刑事司法ということでテーマは多岐にわたるものですが、そのような経緯のもとに設置されたことからしても、中心課題は、いわゆる検察・警察の取り調べの可視化、具体的には録音・録画をどう組み込んでいけるかということであるといって間違いありません。
 三年近くの間に25回の会合を重ね、真摯な議論が展開されてきました。(私も2回だけ欠席しましたが、素人ながらも必死に対応してきました。)全体の部会のほかにも専門家による二つの分科会での検討も重ねられてきました。
 そのもとで、いわゆる法曹三者(裁判官・検察官・弁護士)や警察の立場の方々のご主張を含めて、各委員・幹事からの意見は出尽くし感もあり、また三年の歳月ということも踏まえれば、取りまとめをしていくべき段階にあります。
 そういったなかで提出した今回の意見書には、現実を踏まえつつも、この部会が設置されたそもそもの趣旨を、なんとしても形あるものにつなげてもらいたい、そういった5人の思いが込められているのです。

~透明性の確保と一人ひとりの常識の集積を・・・民主主義の発展に向けて~

 私はこの3年近くの間、議論についていくために必死で勉強するなかで、この15年ほどの大きな動きのなかで、司法の世界が大きく改革の方向に向かい、そして実践されてきたことを強く感じました。
 裁判員裁判制度の導入が最も象徴的です。これは、普通の国民が重要かつ具体的な司法の判断に直接参画する制度です。一人ひとりの常識がしっかりしていなければ成り立たない制度です。そしてそれを活かす民主主義の土壌がなければ成り立たない制度です。
 そして私はこの国民参加の制度が戦前においても「陪審制」として設置されながら、結果的にはほとんど使われず、1943年に停止されてしまったことを知りました。大正デモクラシーの果実は、次につながる種子を残すに至らなかったわけです。
 大正デモクラシーがうたかたの夢と終わってしまった、あの歴史が繰り返されてはならないことは言うまでもありません。  司法の世界で普通の国民の感覚が活かされるようになってきているこの15年来の流れは、わが国の民主主義の発展のために、極めて大きな意義を持つものだと思います。
 そしてこの「取り調べの可視化」の問題も、可能な限り透明性を担保することにより、一人ひとりの国民の常識をより広範に活かしていく、そういう大きな流れの一環だと思うのです。

 プライバシーの問題や、被害者の方々の立場・感情を大事にすること、組織犯罪対策等々、考慮しなければならない問題は多々あります。しかし、それらに的確に対処しつつ、当初の問題意識を活かしていくためにも、専門家の方々の叡智の結集を心よりお願いする次第です。

(神津)

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