会長挨拶

 
2025年1月1日
新年のご挨拶

日本労働組合総連合会
会長 芳野 友子

 謹んで新春のお慶びを申し上げます。
 日頃より連合運動へのご理解とご支援をいただき心より御礼申し上げます。

 昨年は、元日に能登半島地震が発生し、多くの方々が困難な状況の中で新年を迎えることになりました。その後も一年を通して自然災害が各所で発生しました。特に、豪雨災害が地域を問わず発生する様子を見ると、地球温暖化の影響が顕著になっているのではないかと不安を覚える方も多いと思います。
 今年は、地球温暖化について初めて科学的な国際会議として開かれた「フィラハ会議」から40年となります。近年、日本では四季を感じにくくなってきたようにも思え、将来にわたって持続可能な社会を維持することは待ったなしの課題です。一年の始まりに、改めて地球環境に思いを巡らせ、日々の生活の中で取り組めることに努力して参りましょう。

 また、今年は戦後80年となります。先の大戦の惨禍を直接経験された方々は少なくなり、その実相を伝える役割は次の世代へと移っています。残念ながら世界のいたるところで武力を用いた争いが絶えません。対岸の火事と見過ごすのではなく、80年前の出来事を振り返り、私たちが果たすべき役割をいま一度見つめなおし、行動に結びつける一年にしましょう。

 「未来づくり春闘」は今年で4回目となります。賃金も物価も上がらないという社会的規範(ノルム)が長い間、私たちの社会にこびりついてきましたが、近年の賃上げの成果により、「賃金は上がる」という新たなノルムが生まれつつあります。今年は、この流れを「巡航軌道」に乗せ、その新たなノルムを確固たるものにする重要な年になります。動き始めた賃金や物価を再び停滞させることのないように2025春季生活闘争に取り組んで参りましょう。

 連合は2030年までにジェンダー平等社会を実現するとの決意のもと、「連合ジェンダー平等推進計画」を策定し取り組んでいます。世界では、すでに男女同数の割合、すなわち“50:50”が当然のように実現しています。“203050”の目標達成に向けて、残り5年しかないという危機感を持ち、力を尽くして参りましょう。

 労働組合の組織率は、年々、低下しています。労働組合は時代遅れのものなのでしょうか。労働者が労働環境や処遇の改善を求める姿勢は、今も昔も大きく変わっているわけでないように思います。求める内容が多様化し、より丁寧に個々の組合員と向き合わなければ、労働組合に加入している意味を見出しづらくなっているではないでしょうか。加えて、労働組合に加入していない方々に対して労働組合はどう接していくのかも問われ続けています。そのためにも、連合運動はその活動領域の幅を広げていくことが必要であると思います。多様な方々や団体と積極的に対話と連帯を進めて参りたいと思います。
 そして、労働組合は、確実に社会を支え、進歩させてきました。今を担う私たちは、その価値を高める努力を惜しんではならないと思います。低下する組織率に歯止めをかけ、多くの仲間が集い、互いに協力しながら、より良い職場や社会をつくることに努力する一年にして参りましょう。

 本年が皆さまにとって実り多い一年となりますことを祈念いたします。

以上