会長挨拶

 
2024年1月1日
新年のご挨拶

日本労働組合総連合会
会長 芳野 友子

 謹んで新春のお慶びを申し上げます。
 日頃より連合運動へのご理解とご支援をいただき心より御礼申し上げます。
 4年あまり続いたコロナ禍は徐々に治まり、5類感染症に移行して初めての新年を迎えました。コロナ禍の経験を通して、世の中は、たくさんの方々が支え合いながら成り立っていることや、危機に直面したときに必ずそれに立ち向かう方々がいることを、実感をもって再認識いたしました。「はたらくのそばで、ともに歩む」との連合の新しいキャッチコピーとともに、新たな気持ちで働く者に寄り添う連合としての挑戦をし続けて参ります。

 昨年、30年ぶりの高水準で賃上げが実現しましたが、実質的にその効果が霞んでしまうほど、いまも物価高が継続しています。持続的な賃上げが可能となるよう経済社会のステージ転換を図るためには、サプライチェーンにおける労務費を含む価格転嫁は必須です。そのためにも「価格転嫁、価格交渉、環境整備」を強く訴えて参りたいと思います。

 また、ロシアによるウクライナ侵略はいまだに継続しています。中東では、パレスチナのガザ地区を実効支配するハマスとイスラエルとの戦闘が勃発し、1万人を超える市民が命を落としています。どちらの地域にも国際労働運動を通じて連帯する仲間が大勢います。「平和なくして労働運動なし」との信念は、70数年前の戦禍を経験した私たちが、常に労働運動の根幹に据えてきたゆるぎないものでしたが、時を越え、地域を越えて今もなお脅かされる脆さもあることを痛感しています。同じ空の下、戦火に不安を抱えながら命をつないでいる仲間の安全を祈りたいと思います。そして、改めて「平和なくして労働運動なし」との思いを強くしたいと思います。

 今年は、連合における「ジェンダー平等推進計画フェーズ1」の最終年です。この計画は、連合本部、地方連合会、構成組織における女性役員の選出や意思決定機関への参加機会の確保、活動スタイルの点検や見直しなど、ジェンダー平等実現のための足元をしっかり固める基礎的な目標を定めたものです。日本のジェンダーギャップ指数は、125位と低迷しています。世界はずっと前に進んでいるということをより一層自覚し、ジェンダー平等をめぐる社会の仕組みを変革していく努力をして参ります。

 世界では、政労使の三者が対話を通じて社会課題を解決することがスタンダードとなっています。政府や使用者だけが社会をけん引するのではなく、生活者としての労働者、あるいは使用者の最も身近なステークホルダーとしての労働者である私たちが、政府や使用者とも対話を通じて、社会を構成する責務を果たして参りたいと思います。

 ジェンダー平等や社会的な対話の促進は、あらゆる連合運動の基盤となる取り組みです。これまでの取り組みを踏まえながら、「働くことを軸とする安心社会 -まもる・つなぐ・創り出す-」という連合ビジョンに加え、「はたらくのそばで、ともに歩む」のキャッチコピーとともに、多くの皆さまのご期待に沿うことができるよう、スピード感を持ち、他人ごとではなく「ジブンゴト」として課題に向き合いながら努力して参ります。

 本年が皆さまにとって実り多い一年となりますことを祈念いたします。

以上