会長挨拶

 
2019年6月6日
第80回中央委員会 会長冒頭挨拶

日本労働組合総連合会
会長 神津 里季生

 皆さん、おはようございます。ご多忙の中、第80回中央委員会にお集まりいただきましたことに、感謝申し上げます。

 本日は「2019春季生活闘争 中間まとめ(案)」や、「2020~2021年度 政策・制度 要求と提言」(案)をはじめとする政策などの議案について、ご審議いただく予定です。ぜひ積極的なご論議をお願いしつつ、私からは4点に絞り所見を述べ、冒頭の挨拶に代えたいと思います。

連合運動の強化に向けて

 まず「総対話活動」についてです。意思疎通を密にして、一体感ある連合運動の構築につなげていくことを目的に、今期、実施してまいりました。昨年の1月末から今年の4月初めまで約15か月をかけて、46構成組織、2友好参加組織、47地方連合会、すべての組織との総対話を行うことができました。皆さんのご協力に心より感謝いたします。
 私は、いただいた建設的な問題提起は全てが宝だと感じています。一方で、この間、「連合ビジョン」(素案)や連合運動強化特別委員会「中間報告」をはじめ、組織討議を並行して展開していただいてきたところですが、これらの取り組みにおいて多くの声を活かしていくことにもつながっています。そういった点からも総対話の意義の深さは明らかですが、しかし、まだすぐには具体化につながっていないものも少なからずあります。都度の中央執行委員会でもお目にかけてきたように総対話の内容は詳しい記録にとってありますから、宝の持ち腐れにならないように常に意識を高く持っていかなければなりません。そのことをあらためて強調しておきたいと思います。

 「連合ビジョン」については、大きな時代の変化にも果敢に挑戦していくために、これまで大切にしてきた価値観や、積み上げてきた運動・政策を継承・発展させ、「まもる・つなぐ・創り出す」という運動へ再構築をはかる決意を、先日、5月の中央執行委員会で確認いたしました。
 また特別委員会では、「連合ビジョン」を実践していくうえで必要となる「運動・組織・人財・財政」にかかわる改革パッケージを盛り込み、6月の中央執行委員会で報告する予定です。

 今後はこれらを運動方針に反映していくことになりますが、私は、この間の組織討議も含め、これら一連の営みは、2003年の連合評価委員会「最終報告」に、今一度、真摯に向き合う大事な機会であると捉えています。評価委員会は、労働組合が自分たちのためだけでなく、「社会の不条理に立ち向かい、自分よりも弱い立場にある人々とともに闘うこと」や、「広く国民の共感が得られる運動体として、社会をリードする、そのような迫力あるメッセージと行動」を求めています。
 我われには、働く仲間一人ひとりの参加のもと、社会に広がりのある運動が求められています。そして、健全な労使関係を基盤に、積極的な社会対話を重ねながら、様々な社会課題の解決を着実にはかっていくことが不可欠です。

 これまでも、直近では「Action!36」のキャンペーンをはじめ、すべての働く仲間のための取り組みを重ねてきました。連合の組織人員も、17年ぶりに700万人を回復しました。しかし未だ8割を超える働く仲間が集団的労使関係の枠の外におかれています。加えて、技術革新の進展や、就労形態の多様化、外国人材の受け入れ拡大など、加速度を増している変化への対応も待ったなしの課題です。
 今期の残り4カ月、連合・構成組織・地方連合会が一体となって、より良い職場、より良い社会の実現に向けた変革の原動力として、すべての働く仲間・生活者の先頭に立って、今期運動方針に掲げている「次の飛躍へ 確かな一歩を」歩んでいくことを、この場で確認し合いたいと思います。

2019春季生活闘争まとめについて

 次に、春季生活闘争についてです。この時期に例年中央委員会を構えているのは、春季生活闘争を中間的に総括し、その成果をもとに、さらなる飛躍を窺うタイミングにあるからに他なりません。
 今次闘争においても、賃上げの流れはしっかりと継続しています。とりわけ、規模の一番小さい100人未満の組合が、賃上げ分、いわゆるベア分が、率では第一回集計から一貫して昨年を上回るとともに、大手組合をも上回っています。特筆すべき成果です。こうした流れを現在も交渉を続けている組合や社会全体に広げていかなければなりません。

 さらに、2019闘争では、賃金の「『上げ幅』のみならず『賃金水準』を追求」する闘争に着手しました。現時点においても、3割弱の組合が交渉中でありますので、最終的な評価は8月の「まとめ」で行いますが、構成組織や単組からは「初めて構成組織としてめざすべき水準を策定した」、「賃金水準を意識した要求を組んだ」、「到達時期についても労使で協議した」、「賃金水準要求にむけて賃金実態調査を行った」などの報告が寄せられており、「賃金水準」追求の必要性について、従来以上に認識が深まったものと受けとめています。
 今年の取り組みを基礎とし、さらに幹の太い運動になるよう全体でじっくりと取り組んでいきたいと思います。

 そして、そもそも我われ連合における労働条件改善の取り組みは、決して「賃上げ」に偏った取り組みではありません。ましてや自分たちだけの世界に閉じたものでもまったくありません。本年4月から、いわゆる「働き方改革」関連の法改正が順次施行されています。長時間労働是正や職場における均等・均衡待遇実現について、適用を先取りする、あるいは法を上回る取り組みを相当数実現してきていることは、社会に広がりのある運動、社会への発信という点も含めて、まさに組織労働者としての務めを果たさんとする性格を帯びたものなのです。

 「中間まとめ」においては、中期的課題である「春季生活闘争の再構築にむけた検討の方向性」についても触れています。「連合ビジョン」や連合運動強化特別委員会「報告」なども踏まえ、検討を深めていきますので、構成組織・地方連合会の積極的な参画をお願いしておきたいと思います。

政策・制度の実現に向けて

 次に、政策・制度要求についてです。本日は、向こう2年間で実現をめざす「2020~2021年度 政策・制度 要求と提言」(案)、そして「2020年度 連合の重点政策」(案)、さらには、「連合ビジョン」と密接にかかわる中期の政策である「社会保障・教育・税制に関する政策構想」(案)を提起いたします。

 人口減少・超少子高齢化、中間層の減少と低所得層の増加、技術革新の進展など、わが国の社会・経済が直面する課題を克服していくうえで、現下の課題に対する政策はもちろんのこと、中長期を見据えた政策を深堀りし、実行していくことがなくてはなりません。
 しかし、ここ数年の国会においては、国民生活に大きな影響を与える重要法案の審議は極めて不十分なままであり、抜本的な議論の先送りが続いています。迫りくるタイムリミットとの関係がいったいどこまで認識されているのかを考えると、まさにわが国の、重要課題先送り体質の根深さを認識せざるを得ません。社会保障・教育・税制、いずれの課題も、先送り体質が続いたままでは、これからの時代を生きぬいていく将来世代を支えていくことは困難であります。
 我われ連合は、そのような先送り体質や、一方でのその場しのぎ・つじつま合わせとは一線を画した存在であるということを常に認識の根底におき、政策実現に邁進していかねばらないということを、改めて強調しておきたいと思います。

参議院議員選挙に向けて

 すべての働く者・生活者のための政策・制度を実現するためには、政治が果たすべき役割が大きいことは言うまでもありません。4月の第19回統一地方選挙においては、複雑な状況と逆風のなかにあっても、当該の地方連合会と構成組織の大変なご努力によりそれぞれの結果につないでいただきました。しかし世の中全体を見渡すならば、4月23日付の事務局長談話でも触れているとおり、低投票率と議員のなり手不足の問題が露呈をしており、主権者教育の推進をはじめ、国民の真の政治参加につながる施策の実行が不可欠であることがあらためて浮き彫りになったところです。事態は深刻です。このようななかで、いよいよ参議院議員選挙が目前に迫っているのです。

 一方では、ここ最近の政府自民党有力者の人たちの解散含みの発言が続いています。首をかしげざるを得ません。「大義」はとってつけられるべきものではありません。大事なことは、与党も野党も、有権者の目線にどう寄り添うか、国民のための政策遂行にどうエネルギーを費やしていくかであり、党利党略で物事を組み立てることでは到底ありません。

 しかし客観情勢としては衆参同日選を視野に置くことが必要と言わざるを得ません。まさに立憲民主党と国民民主党を中心とした力合わせの真贋が問われる状況です。有権者からみて、野党の力合わせが本物とみられるのか、そのことによって与野党が拮抗し得る選挙戦とみられるのか否かで、事態は大きく変わってきます。もしも力合わせが成り立たなければ、一強体制はさらに固定化し、かつての民主党の概念そのものが事実上消え去ることとなる恐れすらあります。政治にまっとうな緊張感をもたらす一方のかたまりが消え去ってしまうことは、日本の民主主義そのものの退廃につながりかねません。

 ここにきて、政党間のいわゆる候補者調整については一時期の遅れを相当程度取り戻してきたようにみえます。しかし、実際のところそれぞれの地方連合会の目線からみてどうか、私たちが応援できる体制となっているか否かは厳しく見極めていく必要があります。二党がお互いの立場を尊重し協力しあっているのか、衆議院も含めて個々の議員・個々の候補者がどれだけ地元の人々に密着しているのか、そして「旧民主」ということに価値観を持っている有権者の思いと向き合っているのか。私たちは、両党の橋渡しに苦労を重ねておられる方々とも連携しつつ、働きかけをさらに強めていくとともに、この危機を克服していかなければなりません。そしてピンチをチャンスに変え、私たちの仲間を何としても国会に送り出し、日本社会の展望を拓いていかなければなりません。

 まさに、日本の将来を左右する非常に重要なタイミングに行う本日の中央委員会です。是非、活発な議論と、力強い心合わせの機になりますことをお願い申し上げ、冒頭の挨拶といたします。
 ともに頑張りましょう!ありがとうございました。

以上