紙つぶて

 
2018年8月6日
お疲れさまです

 日本列島。熱波と豪雨の被害が拡大しています。今年は前代未聞の「逆走台風」も発生。過去の経験が通用しない今、防災・減災のあり方自体も問われています。
 さて、私たちの働く仲間も広島、岡山、愛媛などで、連日、ボランティアに参加。特に、手薄になりがちな平日の対応が、被災地の困難な毎日をわずかでも前に進める助けになればと思います。
 ボランティアに手をあげ、猛暑の中、黙々とスコップを振る若手の一人。手を休めた彼にお宅の持ち主が深々と「お疲れさまです」。その日を境に、気に留めていたか怪しい、自分のたばこのポイ捨てを「いかんいかん」ととどめる変化に自他ともに驚きます。もちろん平穏な日々が一番ですが、飾らない態度と言葉が出会うとき、人の行動を決定する見えない「何か」を動かすようです。
 昭和二十年当時、三割強だった給料袋をもらう被雇用者の割合は現在、約九割。日本の雇用社会の横顔です。一方、いかなる仕事に巡り合うかは努力あり、運あり。それも人生。ただし、たとえ、たどり着いた仕事が違っていても、互いに働くもの同士。働く喜び、しんどさ、誇りだって分かち合いたい。働くもの同士が「お疲れさまです」と素直に交わせる風景をひろげたい。それは「働く」でつながる証であり、「こころ」を互いに動かし合える営みだからです。

2018年8月6日の東京新聞・中日新聞夕刊に掲載