5.くらしの安心・安全の構築|食料・農林水産政策

2-18-5.「森林・林業基本計画」を着実に実行し、林業の持続可能な産業基盤を確立するとともに、森林資源を循環利用する新たな仕組みを構築する。

  1. (1)国・地方自治体は、林業事業体(森林組合・林業会社など)の育成を通じ、林業従事者の所得確保ならびに持続的かつ安定的な森林経営の確立をはかる。

    ①国は、植え付けや間伐、路網整備など森林を育成し健全な状態に保つべく、「森林整備事業」を着実に実施する。

    ②国は、路網整備の推進や技術活用、作業の省力化などによる生産性向上の施策を着実に実施するとともに、国産材の活用推進や適正な価格転嫁の促進による収益の確保を通じ、持続的かつ安定的な森林経営の確立をはかる。

    ③国・地方自治体は、農山漁村発イノベーションの推進や木質バイオマス発電など地域資源を活用した再生可能エネルギーの活用を通じ、山村などにおける就業機会の創出と所得水準の上昇をはかる。(「環境政策」「地域活性化政策」参照

  2. (2)国・地方自治体は、木材自給率の向上ならびに森林資源の適正な循環、二酸化炭素の固定に向けて、国産材の利用促進をはかる。

    ①国・地方自治体は、木材活用の推進に向けて、木づかい運動など国民運動の推進をはかるとともに、CLT(注10)や木質耐火部材(注11)などの技術開発・普及を着実に推進する。

    ②国は、合法伐採木材等の流通・利用を促進する「クリーンウッド法」について、事業者の負担を踏まえたうえで、違法伐採木材の流通を規制する内容への改正を検討する。さらに、木材生産国などにおける違法伐採に係わる情報収集など監視を強化する。

  3. (3)国・地方自治体は、「緑の雇用」事業(注12)などを通じ、段階的かつ体系的な林業人材の確保・育成を推進する。
  4. (4)林業労働力の確保と定着に向けて、全産業平均と比べても高位にある労働災害について、安全衛生関連のガイドラインの周知や、「緑の雇用」における安全向上対策費の拡充などを通じて防止対策の強化をはかる。あわせて、所得を含めた労働条件の向上などの取り組みを推進する。(「雇用・労働政策」参照
  5. (5)国・地方自治体は、森林管理経営制度(注13)の運用などを通じ、条件不利地域をはじめとする林業経営に適さない森林については公的な管理を促進する。
  6. (6)国・地方自治体は、森林所有者・境界の特定といった課題へ適確に対応し、施業集約化を効率的に進める。あわせて、所有者不明森林の発生を防ぐため、相続などによる権利取得の届出義務の周知をはかる。
  7. (7)国は、市町村の林業施策の推進に向けて、「フォレスター(注14)」の育成・活用の着実な実施、「地域林政アドバイザー(注15)」の活用などに向けた支援の強化をはかる。
  8. (8)国は、森林環境譲与税について、森林整備に費用を要する地方自治体への支援を拡充するよう、さらなる譲与基準の見直しを進める。
  9. (9)国・地方自治体は、森林管理にかかる競争入札において、地元雇用の安定的確保を通じた山村地域の活性化をはかるべく、地域の事業体が優先的・安定的に事業を受注できる方式への変更、植栽以降の森林管理も視野に入れた複数年契約の導入、林業の特殊性を踏まえた労務単価の設定など入札制度の改善を行う。(「産業政策」参照)
  10. (10)国・地方自治体は、適正な森林管理を促進する観点から、外国資本による山林買収の適切な規制について検討する。
  11. (11)国は、花粉症発生源対策である「スギ伐採加速化計画」を、スギ材の伐採を通じた供給増による木材市場への影響を考慮したうえで、着実に実施する。
  12. (12)国・地方自治体は、森林生態系の不確実性をふまえた順応的管理の観点から、その土地固有の自然条件などに適した様々な生育段階や樹種から構成される森林となるよう、生物の生息環境に配慮した森林管理を行う。
  1. (注10)CLT ~ひき板を繊維方向が直交するように積層接着したパネル。欧米を中心に、壁や床、階段等に活用した中高層を含む木造建築物が建てられており、わが国においては「CLT活用促進に関する関係省庁連絡会議」のもとで「CLTの普及に向けた新たなロードマップ~需要の一層の拡大を目指して~」が取りまとめられ、政府を挙げてCLTの普及に取り組んでいる。
  2. (注11)木質耐火部材 ~林野庁において、国産材活用に向けた製品・技術の開発・普及の取り組みを進めている。木材を石膏(こう)ボードで被覆したものや、モルタル等の燃え止まり層を備えたもの、鉄骨を木材で被覆したものなどがある。
  3. (注12)緑の雇用事業 ~「林業労働力の確保の促進に関する法律」にもとづき都道府県知事の認定を受けた林業事業体に対し、新規就業者を雇用して行う研修などに必要な経費を支援する。「トライアル雇用研修」などによる新規就業者の就業支援対策、「林業作業士(フォレストワーカー)研修」による新規就業者の育成対策、「現場管理責任者(フォレストリーダー)研修」、「統括現場管理責任者(フォレストマネージャー)研修」などによる現場技能者キャリアアップ対策で構成される。
  4. (注13)森林管理経営制度 ~森林所有者自らでは森林の経営管理を行うことができない場合に、市町村が森林所有者から経営管理を受託し、林業経営に適した森林は地域の民間事業者に再委託するとともに、林業経営に適さない森林は市町村が公的に管理する仕組み。
  5. (注14)フォレスター 森林総合管理士。市町村森林整備計画の作成・実行や森林経営計画の認定など、市町村に対の森林・林業行政について、技術的な指導・支援を行う。都道府県や国有林の職員が多くを占める。
  6. (注15)地域林政アドバイザー 森林・林業分野における市町村が担う役割は増加する中、人員体制が不十分な実態を受けて創設。技術者を雇用(または技術者が所属する法人などに委託)し、市町村の森林・林業行政に携わる。経費については特別交付税措置の対象(措置率0.7、上限額350万円)だが、2022年度時点で204市町村・アドバイザー数307人にとどまる。

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