国際活動

 

多国籍企業問題への対応

人権尊重は企業の社会的責任

 人、物、金、そして企業が国境を越えて縦横に移動するようになった現在、国内外で事業を展開している多国籍企業の社会的責任(CSR)が問われています。労使の共同責任でCSRを推進し、世界で信頼されるより良い企業をめざすにあたって、連合は企業や労働組合の取り組みを促進するための活動を行っています。

働く人の権利を守る国際ルールの普及に向けて

 グローバル化により国境を越えた経済活動が増加し、企業はより低コストの地域に生産拠点を移したり、より需要の拡大が見込める地域での事業展開を重視したりするようになりました。途上国でも、外国からの投資を呼び込むために設置した輸出加工区(EPZ)の中で、労働基準や環境基準を緩和するなどの政策をとっています。また、海外拠点を持たない企業でも、部品調達先や納品先が海外企業であることも少なくなく、海外企業に業務をアウトソーシングするケースも増えています。
 そうした中で、環境破壊や労働者の権利を無視した企業行動が世界的な問題となり、それらに対処する国際ルールの必要性が叫ばれるようになりました。実際に、文化・生活習慣の違いを無視した経営や労働者の基本的な権利を守らない企業行動が多く見られ、進出先国における労働法の未整備ともあいまって、労使紛争が頻発しています。
 企業には、本国の正社員のみならず、同じ職場で働く契約社員、派遣社員、海外現地法人や取引先企業で働く労働者など、すべての働く人々の権利を尊重する責任があります。そのために国際機関は、さまざまなルールを定めています。
 経済協力開発機構(OECD)は、多国籍企業が世界経済の発展に重要な役割を果たすため、責任ある行動をとるよう求める加盟各国政府からの勧告として、1976年に「多国籍企業行動指針(ガイドライン)」を採択しました。一方で、労働組合自身の取り組みとして多国籍企業の労使に国際産業別労働組合組織(GUFs)が加わり、中核的労働基準の遵守や労働基本権の尊重を柱とする協定「国際枠組み協約(グローバル枠組み協定)」を締結し、建設的な労使関係を世界的に築く取り組みも進んでいます。この他に、国際ルールとしてILOが政労使全会一致により採択した「多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言(2006年改定)」、「国連グローバル・コンパクト(2000年)」や「ISO 26000(2010年)」といったガイダンスがあり、人権や労働慣行、環境等についての規定を幅広く設けています。
 連合は、OECD多国籍企業ガイドラインやILO多国籍企業三者宣言等のさらなる周知や、国際枠組み協約締結の促進に向け、「多国籍企業行動の国際的ルールに関する情報ツール」の作成等を行っています。

労働組合に求められるグローバル対応

 企業活動が国境を越えて展開されていく中で、労働組合側にもグローバルな対応が求められています。グローバルなレベルで企業と労働者間の対話を促進し、経営者と労働者が共働して社会的責任を果たすことが、働きがいのある人間らしい(=ディーセントな)職場をつくり、ひいては企業や産業の発展につながります。
 そのため連合は、日系多国籍企業が多数進出しているアジア地域の労働組合と共催で「日系多国籍企業の健全な労使関係」構築に向けたセミナーを原則毎年開催しており、OECD多国籍企業行動指針(ガイドライン)の概要とそのメカニズムについて紹介を行うなど、労働組合の立場での普及活動に取り組んでいます。