年頭記者会見 2018年1月

 

連合記者会見

年頭記者会見

神津会長・逢見会長代行・川本会長代行・相原事務局長(2018年1月5日)

連合記者会見全文

(※聞き取れない部分、不明な部分には「●」を使っています)

神津会長

 新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。 それぞれの皆さん方には取材を通じて、あるいはいろんな形で連合運動にご理解をいただきながら、取り上げていただいているということだと思っています。どうか今年1年よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 このあと新年交歓会ですね、お手元にこのチラシもお配りをさせていただいているようです。この場での挨拶もさせていただきますし、またこの中にもごく短く連合としてこの新年を迎えるにあたっての存念も記載をさせていただいています。あまりダブらないように一言申し述べていきたいなと思います。
 昨年は本当にいろんなことがありました。図らずもという形も含めて、いろんな場面に私も遭遇をし、いろいろ取り上げていただいたというふうに思っています。少し政治向きのところで、一体あの混沌は何だったんだろうということも含めて取り上げられたところが目立ったところもありましたので、少しそこのところが私どもとしては、連合の取り組みというのは多岐多様にわたる問題を取り組んでいるんだということなんですが、ちょっとそこに重点が当たりすぎたかなと、これはある意味仕方のないところではあったと思うんですが、そんなふうにも思っています。それだけに、今この新年を迎えるにあたってまさにご承知のように2018春季生活闘争これが具体的な取り組みの考え方、方針を各構成組織が今まさに定めようとしている、それぞれが中央委員会等の機関確認を経て、また一斉に交渉に入ると、それを迎えるタイミングであるということです。やはり、働く者すべてのためにという、この連合としての役割をしっかりと世の中に打ち出していく、その最もわかりやすい取り組み、あるいは連合労働組合としての根源的な取り組みとして、労働条件の維持向上ということがあるというふうに思っています。内容についてはもう今日お集まりの皆さん方には先刻ご承知の通りであります。でありますけども重ねて申し上げれば、とりわけ2018は、昨年中小が大手を上回る、あるいは非正規の賃上げ率賃金アップ率が正規のそれを上回るという、そういった成果を手に取ることができた。一方でデフレ脱却というのは、ちょっとやそっとでは成し得ませんので、粘り強くこれを継続し深掘りをし、これを広げていくことにつなげていくという極めて大事な2018ということだと思っています。それとあわせてですね、働き方改革これを、仏を作るということは法案審議が少し先になってしまいましたけれども、魂を入れるという事はやはり労使の営みでしか実現しませんから、具体的に同一労働同一賃金あるいは長時間労働是正ということをそれぞれの労使がお互いに納得できる形で、どうやって姿を作っていくのかということが問われる、そういう2018の春季生活闘争だと思います。働き方改革ということで今そういう労使の営みということで申し上げましたが、仏の部分ですね、昨年の、自己都合解散とも言われましたけれども、大義なき解散によってですね、本来であれば昨年の秋の国会で法案がいずれかの形で決められて、そしていよいよスタートに向けて、仏も魂も両方ともきっちりと作らなくてはいけない、こういうことになっていたはずなんですがそれが先送りされたということは極めて残念だと言わざるを得ません。一方で必要ないものまで法案の中に入っているという認識を私どもとしては持っていますから、野党が私ども連合の思いを受け止めていただいてしっかりと力を合わせて審議に臨んでもらいたいなというふうに思っています。
 それと最後にやはり政治の話ももちろん触れておきたいというふうに思います。これもご承知のように2月16日に「連合フォーラム」を立ち上げます。早速その準備に入っていくということになります。私どもと政策理念を結びあっている方々、150人ぐらい、衆参でということになるんだろうと思います。しっかりとお互いに、フォーラムという場に参画をいただくということも確認をしながら作っていくということになりますので、是非この点についてもご注目をいただきたいと思います。先ほど申し上げた働き方改革の問題を含めて、連合として持っている政策実現にこの連合フォーラムそれぞれの議員の皆さん方のお力を大いに頼りにしていきたいと、こういうふうに思っているということを申し述べておきたいと思います。
 連合としての取り組み内容ということでは、組織拡大、1000万連合これがもう再来年ということになってきますので、そこへ向けてどうこの姿を作っていくのか、あるいは男女平等参画社会の実現ということで、これも2020年に向けての目標、とりわけ足元からということで労働組合の役員の女性参画比率というのもしっかりと実現を図っていく、このことも大きなテーマであります。
 その他様々ありますが冒頭の私の方からのお話は以上とさせていただいて、質問をいただいていきたいというふうに思います。どうかよろしくお願いいたします。

質疑応答[1]
Q.(朝日新聞・サワジ氏)

 2点お伺いしたいんですけども、来年の30周年に向けて今年1年どういったことに取り組むのか、どういった論点を詰めていかれるのか、そのテーマと具体的な方法についてお考えをお聞かせください。
 それと関連して、安倍総理が年頭の会見で憲法について改めてご自身の考えを表明されているので、連合内すでに憲法についての議論が始まっていますけれどもその憲法についても今年どういった形でどういう手順で議論されていくのか現時点での考え方を教えてください。

A.(会長)

 結成30年に向けてということなんですが、その内容についてはまた改めてこういった場でお示しをするということかなと思っています。今年はどういう年かということで言えば、まずは今申し上げたようなことに力点を置いていくということだと思います。ただ、これサワジさんご存知だと思うんですけれども、2035年ビジョンということで中間報告を出させていただいています。あの内容そのものということではありませんが、そこでまず中間的にいろんなことをお出しをしているのは、連合として「働くことを軸とする安心社会」という政策パッケージも持っていますし、あるいは2003年の段階で連合の評価委員会報告というものも受けて、まさに働く者すべてのための存在として地方組織の強化ということもはかってきていますので、やはり30年というのは1つの節目として捉えてこれを機会にまた新しい大きな枠組みというものをう打ちだしていくということができればいいんではないのかなと、こういうところでありますので逢見会長代行にそこらへんの姿をどう作っていくか検討の中心になってもらって打ち出しをしていきたいなと、こういうふうに思っています。
 それから2点目の憲法についてなんですけども、解散総選挙に至る前段においても、安倍総理が総裁としての発言だとおっしゃっていましたけども、かなり思いをそこで述べられていたということも含めて、勉強会を開催してきているんですね。それを私どもとしては先日三役会ベースの勉強会は再開をしています。私は個人的には、今回改めて9条ということについて安倍さんが言い込んでおられますけども、安全保障法制ああいう形で強行的に決められたということも含めて、なぜ9条の、しかも自衛隊のところだけ言及されているのかということについてはよく分からないなというのが、一言で言えば受け止めですし、9条のみならず本当に今すぐに憲法を改正しなきゃいけないというものがあるんだろうかということについては疑問だと思っているんですが、しかし一方で、勉強会を始めたときは民進党として憲法についての議論かなり真摯にやってましたので、ひとつはその状況も見極めながら、連合としてもせいせいと勉強会をやりながらその動向を見守っていくということだなと思っていたんですが、ご存知のような野党の状況にもなっていますし、一方で安倍総理が踏み込んだ発言をされているということを踏まえると、一言でいえば必要ないよな、みたいなことで本当に済ませられるかどうかということもあるんだろうと思ってるんです。したがって、そういうことにできるかどうかは別としてやはり連合という存在は、幅の広い道をまっすぐと、真ん中のまっすぐの道を進む存在だと思ってますので、そういう連合の立ち位置にかなうような、1つ大括りに、こういうことは言えるんじゃないかと憲法改正議論については、ということがもし言えるんであれば、そういうことにもつなげていくこともあるかもしれない。そういうことも頭に置きながら勉強会を重ねていきたいなとこんなふうに思っています。

質疑応答[2]
Q.(ファクタ・ミヤジマ氏)

 ファクタのミヤジマです。今年もよろしくお願いいたします。連合フォーラムについて伺います。これはやはり、現在支持政党がなくなっているわけですが、連合としてのポリティカル・パワーを回復するためにそういう大きな塊というか、そういうもののベースキャンプになると考えて良いのか、それとも先ほどおっしゃったようにやはり生活闘争という意味では与党であっても政調会長ですとか呼んだりしてもう少し幅広い枠組みのことを考えておられるのか、注目しているものですからその土台のところを会長はどういうふうにお考えになっているのか、先ほど政治にちょっと深入りしすぎたというお話もあったんだけど、その辺どうお考えになっているのか伺いたいです。

A.(会長)
政権与党との関係は引き続き、私ども働く者の代表としての連合の政策を説明しあるいは要請をするということでありますから、そこの関係は引き続きということだと思っています。
 連合フォーラムについては、いろんな言い方できると思うんですが、野党が今こういう状況になりましたと、かつてであれば民進党との間で政策理念をお互いに俎上に上げながら確認をしていくということで良かったんだと思いますが、今はそういうことではありませんから、少しそこは、推薦をして国会に行っている方々とは一堂に会する中で私どもの政策の考え方を説明をし、そして理解を得ていく、そういう場がやはり必要だなということが一番の動機ということだと思います。あとはやっぱり、もともとそういう意味では民進党におられた方々でありますから、働く者の政策理念そこは少なからず共有をしていただいている皆さんですから、やっぱりそういう場でいろんな勉強会、シンポジウムみたいなこともこれからやれればいいと思うんですけども、そういうことで思いを共有するということも是非意識をしていただければありがたいなと、こういった思いもあると思っています。あくまでも政策中心に進めていきたいというふうに思います。来年、統一地方選とか参議院議員選挙ということもありますから、当然そのことは私どもとしても頭に置きながら、やっぱり一強政治の弊害ということがまだ続いているというふうに思ってますので、それはどこかで終わりを迎えるべきものではないのかなと、そういう中で与党に漁夫の利を与え続けるということはいかがなものかという思いは根底にありますのでね、そのことを前面に出すということではありませんけれども、政策で結び合うということの先にそういうことも視野においていくということではないのかなと、連合としては。というふうに思っています。

質疑応答[3]
Q.(読売新聞・ヤマザキ氏)

 今の最後に与党に漁夫の利を与え続けるのはどうかというのが根底にある、というふうな発言がありましたけども、一方で、立憲民主党の枝野代表が記者会見で、引き続き統一会派については否定的な見解ですとか、他党との連携について否定的な姿勢を改めて強調して示したという動きがありました。そういった動きに対して、年が明けて改めてどういうふうに、国会が目の前に控えているという状況の中でそういった態度を崩さないということについてどういうふうにお考えがあるのか。またそこに注文をつけることがあればお聞かせいただきたいと思います。

A.(会長)

 政治の場での政党同士の話については私どもとしてそこに直接的にこうすべきだああすべきだということは差し控えるべきかなと思います。ただ一般論ということで、あるいは連合の立ち位置ということで申し上げますと、やはり一強政治その弊害が云々ということは今若干触れたんですけども、何がその弊害かというと、これまでの間重要法案の中で強行的な採決がされたということがありました。本来政治というものは合意形成を図って国家国民のためにベストな姿を作っていくということだと思うんですがそうなっていないと。そういう中で一強政治に立ち向かう野党の皆さんが力を合わせていくということは国民のためにも必要なことだと思っていますから、そこはそういう観点で、特に会派というのは政党が一緒になるという話とは全く次元の異なる問題だと思いますので、国会審議国会運営の中でより野党がしっかりと力を持っていくという、そういう意味合いだと思いますのでそこはそれぞれの野党が是非懐深く懐を広く連携していっていただきたいなということがあります。あくまでも一般論という前提にはなりますけども、しかしそれぞれの野党にはそのことは視野においていただきたい。それが国民に向けたメッセージとなり得ると思いますので、そのことは申し上げておきたいと思います。

質疑応答[4]
Q.(フリー・モリ氏)

 春の賃上げについてお尋ねしますけども、最近経団連の榊原会長が3%の賃上げは社会的要請だという趣旨の話をインタビューでされていますが、これに対応して連合として例えば3%を下限として賃上げを目指すとか、より強いメッセージを発するか、あるいは経団連があれだけ賃上げに社会的要請だと前向きなのですから、何か社会的合意形成みたいなことを経団連に持ちかけるような、より強いアクションはお考えにはならないでしょうか。

A.(会長)

 社会的合意形成をということで、それは1つのアイデアということはあると思うんですけども、ご承知のように経団連との間では、重要段階と言いますか、ここからがまさに春闘のそれぞれの交渉に入るぞというタイミングで協議を行いますから、その場はしっかりとその意味合いも含めてやっていくことになるんだろうなと思います。ただ、数字とかパーセントということだけで問題が解決されるとは私自身は思っていませんから、もちろん連合としてはより高い数字を求めるということはあります。ですから私どもは3とかいうことではなく、2+2の4%ということがあるわけです。ただ、あくまでもこれはそれぞれの労使交渉によってしか結論は導き出せませんから、そのことに向けて何が大事なのかということを含めて経団連との間では来るべき協議の場に臨んでいきたいなというふうに思います。社会的要請だというのは私に言わせればそんなのは当たり前の話ですから、それぞれの企業の状況だけに引っ張られて春季交渉を行うなんていうことはすべきではないというのはもともと私どもの考え方ですので、なぜそれが今社会的要請かと言いますと、デフレを本当に脱却できるのかということだと思っていますから、やっぱりこの20年来このデフレの状況が続いだということがいかに日本の経済社会の歪みをもたらしたかというのはもう明白ですので、これは当然といえば当然ということだと思います。私もよく引き合いに出しますけども、昭和48年末のオイルショック以降のとんでもないインフレを、これは労働組合に政府から持ちかけられた社会的要請としての要求抑制ということを行なったんですね。それの結果によって超インフレが退治できたということですから、今やらなきゃいけないことというのは真反対のことなんで、そういうボールが経済界に投げられていてそれに応えることはまさに社会的要請としての責任だと思いますので、そういう中での今榊原会長がその舵取りをされているということだと受け止めています。

質疑応答[5]
Q.(朝日新聞・ミナミ氏)

 午前中の私鉄総連の旗開きで神津会長が、昨年の一連の政局の中で、不本意にも携わらなければいけなかったことに関して、機会を見て、いま漂っているモヤモヤ感を払拭するためにタイミングを見て発信していきたいというお考えを示されたと思うんですが、具体的な内容についてはこれから発信をされていくんだと思うんですが、その今漂っているモヤモヤというもののもうちょっと具体的なイメージと、そのことによって何が滞っているのかということについて教えていただきたいのが1つと、立憲民主党が原発ゼロの基本法というのを通常国会に提出しようという動きが進んでいますが、この動きについて連合としてはどのようにお考えなのか、その2点をお願いします。

A.(会長)

 私鉄総連のあれを聞いておられたのね。あのね、モヤモヤ感ということで申し上げましたけども、心ならずも分裂した野党の中で今活動されていらっしゃるんですね元民進党の人たちが。民進党に引き続き居る参議院を中心とした人たちにとっても、心ならずもの今形なんですね。したがって、なんでああいうことが起きてしまったのかということについては、明らかになっていないことも含めてモヤモヤ感が漂っているんですね。モヤモヤ感というとそうかなというふうにお聞きいただけるかもしれませんが、ちょっと怨念みたいなこともまだ残ってるんではないのかなという気がするわけですよ。政治の世界の皆さん方というのは一家言をもって取り組んで活動をされている方々だから余計そこのところが、一体何でああいうことになってしまったのか、一瞬盛り上がったものがあっという間にあんな形になってしまった。やっぱりどう考えてもおかしな話なんであって、おかしなことは、こういうことでおかしかったということをもっとクリアにしていくことがないといけないんだろうと。本来私どもは応援団ですから、あの場面においても、前原代表、小池代表が事実上の合流という時に、じゃあ合流したはいいけども、その新しい、あの時点での希望の党ですけども、それは連合と政策協定をいったい結べるんですかと、そのことが一番私どもの関心事だったんですね。したがってそういう意味では、基本的には前原さんを通じての話ではあるんだけども、それを投げたわけです。それがだけど結局なしのつぶてになってしまった、というようなことを含めて、私として言うべき部分、そういうモヤモヤ感の払拭みたいなこともですね、私が出来得る、あるいはやるべきというところもあるのかもしれない、そこは時機をとらえてそこのところは少し明確にしていく必要はあるのかなというふうに思ってるということで、今日の時点ではそこまでに止めさせていただければと思います。
 あと原発の話ですね、私ども一貫して言っているのは、連合としてまとめている政策は例の福島の事故があって以降半年かけて連合の中で本当にいろんな意見を戦わせながらだけど1つのものをまとめています。それは、将来的には原子力エネルギーの依存から脱却すると、一言で言えばそれでまとまっているわけです。そのことに尽きるので、そのことに向けた工程表というものを明確にしていくということは必要だと思いますね。これは解散前の民進党においても工程表を作るんだという話はありました。したがって私どもそのことはある意味期待をして待ち受けていたんですが、それが今こういう形に野党がバラバラとこういうことになってしまっています。やっぱりきちんとした裏付けというものがないと、ああいう放射能汚染みたいなことを現実に目の前で経験した日本国民からすると、無くて済むんだったらそれに越したことはないなというのは誰しもあると思うんですね。ただそういう意味での、言い方が悪いかもしれないけど、見栄えとかいうことでこの問題を捉えたらいけないというふうに私は思っていますから、やっぱりきちんとした裏付けだとか、あるいは今休止中の原子炉、原子力発電所にしたって、抱えているリスクというのは、燃料棒を抱えていますからね使用済みのものを含めて、リスクは同じですから、そういうことを踏まえた避難計画であるとか、あるいは廃炉技術をしっかりと確立する継承するそのための技術者を確保するとか、究極使用済み燃料の最終処分場をどうやって国民的議論の上に確保するのか、その辺りのことが伴わないと本当の意味で国民として安心できるエネルギー政策ということにならないと思いますから、やっぱりそこまできちんと腰を据えたものを、かつ野党がそこは力を合わせて作ってもらいたいなというふうに思います。以上です。

質疑応答[6]
Q.(朝日新聞・オオヒナタ氏)

 神津会長に1点だけ伺えればと思います。昨年末にまた組合の組織率の推定組織率が出たと思うんですが、17.1%ということで過去最低を記録したという状況だと思います。連合ができてほぼ30年を迎える中だと思いますが、なかなか低下していく動向を変えられない原因をどう考えていて、今後どうテコ入れしていこうとお考えなのか伺えればと思っていますよろしくお願いします。

A.(会長)

 これなかなか悩ましい問題で、冒頭申し上げましたけれども1000万連合ということを標榜して、だけどもう2020年というのは再来年ですから本当の意味でどうしていくのかということがやっぱり問われていますし、今年の中で、何ていうんですかね、処方箋も含めて考えていく必要があると思います。今回の労働組合の組織率の調査ですね詳細は皆さん方ご存知の通りですが、組合員ということだけで見た時には確か4万人ですか増えていたんだと思うんです。連合だけで見ると5万人増えているんですね。ただ雇用労働者の母数のところが相当増えていますので、したがって組織率自体は低下をしているということなわけです。私どもコツコツと労働組合作りですとか、あるいは組合員の範囲の拡大だとか、そういう組織の拡大ということをやっていまして、そのことが5万人の増ということにはなっているんですが、少し岩を穿つような努力だなということであります。社会と向き合うということの中でどうやってそういうカバー、労働組合という傘を持たない人たちが8割以上いるというそこに対するカバーを実質的な意味も含めてどうやって広げていけるんですかということが一番大事なところだと思っていますので、そこはさっき処方箋なんていう言い方をしましたけども、少しものの考え方も幅を広げていく必要があるんではないのかなと、これはまだ私だけが今この場で申し上げていることではあるんですが、コツコツとやっていくことは当然必要ですし、そういう組織拡大のパワー、今組織化専任チームというものを本部の段階で持ってですねまだ4年ですからむしろそのことの真価が発揮されるのはまだまだこれからだということもありますが、そのことだけではなくて今私が申し上げたようなことも視野に置いていく必要があるかなとこんなふうに思っています。

Q.(朝日新聞・オオヒナタ氏)

 考え方の幅を広げていく必要があるというのは、どこら辺に具体的には幅を広げていくと…?

A.(会長)

 私だけであんまりつんのめって言ってもあれなんですけども、例えば全米のAFL-CIOですね、アメリカにおけるナショナルセンター、連合みたいなものですが、あそこも組織率の低下ということについては随分とそこは課題として抱えているんですが、一方で薄く広くということで「ワーキング・アメリカ」ということで、労働組合ではないけどもそういう困った人たちを包摂するようなそんな組織を持っているんですね。あるいは連合においても地方連合会でそういうユニオンメイトみたいな形で、何かあったら困った時には積極的にそこがきちんと相談に乗るとか、あるいは普段からいろんな情報を提供するとか、そういう仕組みを持っている地方連合会もあったりするんですね。これはまだ私が言っているだけの繰り言として聞いていただくしかないんですが、そういうことも含めてどうやって幅を広げていくかみたいなことは必要なのかなと、こんなふうに思います。

質疑応答[7]
Q.(労働レーダー・サツカワ氏)

 2018年で非常に心配なのはイスラエル中近東をめぐる問題とか朝鮮半島でも有事の可能性があって、これから連合も1000万を達成していくというそういう時、あるいはオリンピックも控えています。もしそんな時に、あんまりこんなことを正月から言いたくないんですけども、大変危機的な状況になってしまうと今までやってきたこともやれないと。そこで連合さんにすごくお願いしたいんですけど、国際連帯で旧国際自由労連、いま国際連合でしょうけども、イスラエルにもパレスチナ諸国にも、中国にも総工会の繋がりがあり、韓国にも連帯活動をやっていらっしゃるでしょうから、是非それぞれの労働組合との平和に対するアピール、声明などを連合が旗を取ってやっていただけないでしょうか、もし可能であれば。そういうことも連合の将来の平和をきっちり発信していく、そういうメッセージになるんじゃないのかなと思いまして。

A.(会長)

 今お話があった中でも触れられています、連合はITUCという国際労働組合総連合ですねここの一員として活動しています。私も役職としてもそこの副会長も兼務をしておりまして、様々な会議にも対応しています。まさにサツカワさんおっしゃったように、そこでの1つの大きなテーマというのは国際連帯ですし、平和を希求するというのは労働組合全世界共通してますのでね、そういった取り組みを行なっています。いろんなアピールも時折出しているんですが、なかなか、今日は本当に貴重なご質問ご意見いただいたと思いますが、私どもそこはホームページを含めて出しているんですけどもちょっと目立っていないところが(記者・すみません勉強不足でした)いやいやとんでもないです。もっとそこは発信力を高めてやっていきたいというふうに思います。イスラエルについてもパレスチナについてもですね、今申し上げたITUCのアジア太平洋地域組織(ITUC-AP)のそれぞれ一員です。労働組合同士はしっかりとした協力関係を持っています。ITUC-APもそこのところを力を入れているんですけども、実際にやっぱりそこは働いてる人たちが豊かになるというのが最も根底の、平和に向けた力になると思っていますので、そこはこれからも力を入れていくということだと思っています。

質疑応答[8]
Q.(共同通信・チバ氏)

 働き方改革関連法案について伺います。先ほど法案の審議先送りが残念だというお話があったんですけども、弊社の取材で法施行についても1年程度を遅らせるという方向で厚労省が検討に入ったという話が取材で取れております。そのことについての会長の受け止めをお伺いしたいんですけども。

A.(会長)

 私も報道は拝見したんですけども、私どもには全くそういう話はありませんから、それが事実だとすれば非常に遺憾だと思いますよね。さっき申し上げたように、そもそもああいう解散で法案審議を先送りしておいてですね施工も先だというのは非常にけしからん話だと思いますし、特に長時間労働是正ということで言えば再三こういう場でも申し上げていますけれども過労死過労自殺が年間で200件近くも生じてしまう国ですから、それをとにかく止めなければいけないということが最優先課題だと思いますのでそれは一刻も早く、さっき申し上げた仏作って魂も入れてということの「仏」をですねやっぱり形をしっかり作らないといけないと思います。あれだけ関わる人たちが、私ら含めて、苦労して実行計画働き方改革について作ったわけですからそれは一刻も早くスタートさせるべきだと思いますね。それと労働基準法という関係でいうと例の残業60時間超えた場合の扱いですね、割増率が大手企業と中小企業とダブルスタンダードになっているんですね。これがもう8年になるわけですよ。労働基準法というのは働く上での最低限のルールを決めている法律ですから、これが、たまたま働いているところが大手企業であるか中小企業であるかによってですよ、そういう労働基準が違うというのはありえない話なので、こういう異常事態が8年も続いているということはやっぱり深刻に改めて、関係する人たち当該の厚生労働省はもとよりですね、考えていただく必要があるというふうに思っています。

質疑応答[9]
Q.(毎日新聞・カゲヤマ氏)

 神津会長と川本会長代行にも伺えればと思いますが、昨年末に江崎孝参議院議員が民進党を離党して立憲民主党に入党しました。連合の組織内候補が今民進党とお一人立憲にもおられるという状況になっていると思うんですけども、基本的に今まで民主党民進党に主に参議院の連合の組織内候補はまとまっていた状況が今は分かれてる状況になるんですけども、これをどのように捉えていらっしゃるのか、基本は民進党から分裂した立憲だから容認というか許容されるのか、それとも民進党でまとまっていてほしいというふうにお考えなのか、この江崎さんの離党、立憲入党について見解を伺いたいと思います。

A.(会長)

 やっぱり参議院をですね1つの塊としてまとまってほしいというのはずっと続けていますのでその思いはもちろん変わりはありませんし、それと民進党自体が相当侃々諤々の議論のようですけども、やっぱり今のままじゃいかんわなというそういう改革議論を重ねてるわけですよね。昨年の中でひとつの議論としての最後の取りまとめというのはしていますけどもご承知のように改革はさらに続くという内容ですから、やっぱりその姿をどうやって作るのかということでそこについてみんなが苦労している中ですから、やっぱり一言でいうと離党されたということは残念ということに尽きるなと思っています。1人の議員としての、1人の政治家としての立場がありますので、江崎さんかなりいろんなそこの思いがあってのことだとは思うんですけども、しかし連合として考えた時には今申し上げたようなことで残念だなということだと思います。

A.(川本会長代行)

 私の方からも一言ということで、この間昨年の総選挙以降、非常に政治状況というのが混沌とした複雑な状況がある、これは皆さんもご承知のことかと思いますけれども、そういう状況の中でやはり連合の一員である私どもとしても慎重に事を進めるべきであると、判断は早急にすべきではないということもこの間議論して参りましたし、また連合そして自治労としての考え方、また江崎議員個人の政治家としての考え方など様々意見交換をしながら共有化をして参りました。そういう中で一方では組織内の議員といえども国民の負託を受けた国会議員であるという行動と判断というふうに私どもは受け止めておるのが現状であります。

質疑応答[10]
Q.(共同通信・コクブン氏)

 働き方改革についてなんですが、昨日の総理の会見で今年の通常国会「働き方改革国会」という名称で位置づけましたが、それについてどう受け止めてらっしゃるのかということと、先ほどですね早期とおっしゃいましたが現状で高度プロフェッショナル制度と裁量労働制の拡大が入っておりますがそれも含めてどう法案に対して望んでいくかという2点お願いします。

A.(会長)

 先ほど申し上げたこととやや繰り返しにもなるんですけども、本当だったら昨年の秋に働き方改革国会が行われてたんじゃないのかなというふうに改めて思わざるを得ないなというのがひとつ感想ですね。やっぱり長時間労働是正、一刻も早くそういう対策を実行に移すべきでありますし、法律にそれを明確に込めなければいけないということだと思います。これも繰り返しになりますけども、高度プロフェッショナル制度これは制度としてそもそもこの必要性を私ども全く感じていませんので、今やるべきはこの長時間労働是正、過労死過労自殺をなくす、ということですから、そのことに対してむしろ逆行しないのかという懸念があるような法律を作る必要は全くないということだと思いますし、それから裁量労働制についてもですね私どもとしていろいろ要請したことも一部取り込まれたものにはなっていますけどもこれも最低限の歯止めなんであって、もし原案のままということであれば日本に300万人いるであろうと言われる営業職全般に網がかかるようなそういうものでしたから、それはもう最低限のものであって、一方では裁量労働制の適用自体が本当に適正に行われているんだろうかということがあるわけですから、やはり今の法案においてもですねそういう懸念をさらに増大させないか、いい加減なことに結びつかないのかということをしっかりと見極めていかないといけないと思いますので、そこのところはやっぱり野党の皆さん方にしっかりと連携して、力を強めていただいて対応していただくということが必要だというふうに思っています。

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