これでわかる労働者派遣法2015年改正

point1.

派遣社員の受入れに関する新しい期間制限のルールが
設けられました

■ 事業所単位の期間制限

2015年9月30日以降、同じ事業所で3年を超えて働いてもらうことはできなくなりました。2018年10月以降、この3年ルールが本格的にスタートします。(労働者派遣法40条の2第1項・2項)

※ただし、派遣先が派遣先事業所の過半数労働組合等から意見を聴いた上で、3年を限度として派遣可能期間が延長される場合があります。(労働者派遣法40条の2第3項)

事業所単位の期間制限とは

  • 派遣先の同一の事業所での派遣労働者継続的な受入れは3年が上限です。
  • 上限を超えて受け入れようとする場合は、過半数労働組合等への意見聴取が必要です。
※雇用保険の適用事業所に関する考え方と基本的に同じ
  • 工場、事務所、店舗等場所的に独立していること
  • 経営単位として人事・経理・指導監督・働き方などがある程度独立していること
  • 施設として一定期間継続するものであること

■ 個人単位の期間制限

事業所単位の期間制限に加え、ひとりの人が派遣先の同じ職場(「グループ」や「課」)で3年以上働くことができなくなりました。このルールも、2018年以降本格的にスタートします。(労働者派遣法35条の3、40条の3)

個人単位期間制限とは

  • 派遣先の事業所の同一の組織単位※での同一派遣労働者の受入れは3年が上限です。
※いわゆる課やグループ
業務としての類似性、関連性があるもの
組織のおさが業務配分、労務管理上の指揮監督権限を有するもの・施設として一定期間継続するものであること
point2.

3年間同じ組織で働く派遣社員が働き続けたい場合
派遣会社に「雇用安定措置」を行うことが義務づけられました

派遣元(派遣会社)は、派遣社員の雇用の安定や、キャリア形成の機会を確保するための義務を負うことになりました。これを「雇用安定措置」と言います。(労働者派遣法30条2項)

「雇用安定措置」とは

派遣先の同一のグループや課に継続して3年間派遣される見込みとなった場合、派遣社員が働き続けることを希望する場合には、派遣会社は以下の①~④の措置を講じる必要があります。

  1. 派遣先への直接雇用の依頼
    (派遣先が同意すれば、派遣先の社員となります)
  2. 新たな派遣先の提供
    (派遣労働者の住所、職務経験、能力等を踏まえて、合理的なものであることが必要です)
  3. 派遣元での派遣労働者以外としての無期雇用
  4. その他雇用の安定を図るための措置
    (紹介予定派遣や職業紹介等の、雇用の継続を図るための措置)

※派遣期間が1年以上3年未満見込みの方については、努力義務。

3年経ちそうなら、まずは派遣会社への意思表示が大事!
  • 雇用安定措置の対象となるには、派遣会社に対して、派遣契約終了後も継続して就業を希望する意向を伝えることが必要です。(派遣会社は、キャリアコンサルティングや面談等を通じて、継続就業希望の有無を把握する必要があります)
  • 雇用安定措置①~④のうち、派遣会社に講じてもらいたいものを、派遣社員自身が希望することができます。
point3.

派遣社員の方は、計画的な教育訓練や
キャリアコンサルティングを受けることができるようになりました

派遣会社には、派遣社員に対して計画的な教育訓練の実施やキャリアコンサルティング窓口の整備が義務化されました。これにより、派遣社員は計画的な教育訓練やキャリアコンサルティングを受けることができるようになりました。(労働者派遣法30条の2、36条5項)

「計画的な教育訓練」とは

  1. 有給・無償で提供される教育訓練である必要があります。
  2. 時間数は毎年おおむね8時間以上とされています。
  3. 内容は「キャリアアップに資する」ものである必要があります。ヨガ教室やネイルアート教室などのように、明らかにキャリアアップに関係ない訓練は認められません!

また、キャリア・コンサルティングの相談窓口を設置しており、その窓口にキャリア・コンサルティングの知見を有する担当者を配置していることも義務づけられました。(労働者派遣法36条5項)

こんな教育訓練は認められません!
  • 派遣社員の自己負担で行う教育訓練
  • ヨガやネイルアート教室などのように、明らかにキャリアアップに関係のないもの