要請書手交の様子
連合は7月22日、伊原厚生労働事務次官に対し、「2026年度 連合の重点政策」に関する要請を実施しました。厚生労働省に対する要請は、5月18日に実施した上野厚生労働大臣に対する要請に続くものです。
冒頭、神保事務局長が伊原事務次官に要請書を手交した後、「本日の要請項目は、私たちの仕事と生活に直結する内容であり、厚生労働行政にぜひとも反映いただきたい」と挨拶を行いました。
伊原事務次官は2026春季生活闘争の成果などに触れたうえで、「日頃から働く方々、生活者の立場から様々な活動に精力的に取り組み、厚生労働行政へ協力いただいていることに感謝する。本日は忌憚のない意見をいただきたい」と述べました。
次いで、要請内容(10項目)について厚生労働省から以下の回答がありました。
【働く者のための労働基準関係法制の見直し、長時間労働の是正】
過労死ラインである上限規制は緩和しない。つながらない権利などの「労働からの解放規制」や、労使双方意見がある裁量労働制は、労政審で議論する。
【パート・有期・派遣労働者の雇用安定と「同一労働同一賃金」の徹底】
無期転換逃れの雇止め防止などを徹底する。「同一労働同一賃金」は本年10月の制度改正の履行確保とともに施行状況を踏まえ法規定のあり方を検討する。
【育成就労制度および特定技能制度における適正な受入れと支援強化】
日本語教育支援や適正受入れへの指導・監督を行う。国内労働市場を注視し、外国人育成就労機構の体制整備など関係省庁と連携して取り組む。
【「人への投資」の拡充と能力開発支援】
非正規雇用で働く者や障がい者への訓練体制を拡充する。中小企業にはポリテクセンターなどでの無料伴走支援を提供し、制度の周知徹底を図る。
【労働者性の見直しなど、曖昧な雇用で働く者の保護】
フリーランス法の履行を確保し、労基署における労働者性の相談窓口を周知する。また、労働者性の判断基準のあり方は有識者研究会で検討を進める。
【ILO第190号条約の批准、ハラスメント対策のさらなる強化】
カスハラ対策は業種・業態における被害の実態や業務の特性を踏まえた対応が求められる。10月の施行に向けて、リーフレットの作成、消費者庁や警察庁、業所管省庁との連携により、ハラスメント防止に向けた取り組みを推進する。
【ひとり親世帯やヤングケアラーなどへの支援体制強化、現場人材の処遇確保】
支援の現場を担う人材の専門性の確保には、処遇と職場環境の改善が大切。家族等介護者の離職防止に向けて、地域の実情に応じた提供体制の確保が重要。
【切れ目のない医療提供体制の構築と医療人材の処遇改善】
処遇改善は重要。診療報酬改定の影響も検証する。新たな地域医療構想の策定に向け、医療機関の役割分担の明確化などガイドラインを公表したところ。
【介護人材の処遇改善と業務負担軽減】
「骨太の方針2026」に「他職種と遜色のない処遇改善の実現をはかる」と明記した。人員配置基準はサービスの質の確保に重要であり、慎重な検討が必要。
【被用者保険の適用拡大と第3号被保険者制度の廃止】
適用拡大の10月施行に向けて丁寧に周知する。第3号被保険制度は、2026年度中に実態把握、課題整理を行い、今夏を目途に検討の場を設置する予定。
その後、要請項目に関連する意見交換を行いました。
最後に、神保事務局長が「賃上げのみならず、労働環境の整備や適切な処遇の確保による生産性向上は不可欠であり、引き続きの連携と現場の声の政策への反映をお願いしたい」と述べました。これに対して、伊原事務次官が「デフレからの脱却や少子高齢化、外国人労働者の増加など、社会構造が大きく変化する時期を迎えている。今後も様々な局面で意見交換を行い、時代に適応した実効性ある行政をめざしたい」と述べ、締めくくりました。