意見陳述する永井総合政策推進局長
6月16日、政府提出の「社会福祉法等の一部を改正する法律案」に関する参考人質疑が参議院の厚生労働委員会において行われ、連合の永井幸子総合政策推進局長が意見陳述をしました。
同法案には、中山間・人口減少地域における特例介護サービスの枠組み拡張と包括的評価の仕組み(月単位の定額払い)の導入、ケアマネジャーの更新制の廃止・研修の在り方の見直し、有料老人ホーム入居者に係るケアプラン作成と生活相談ニーズに対応する新たな相談支援類型の創設及び利用者負担導入、介護福祉士養成施設卒業者の国家試験義務付けの経過措置の更なる延長、頼れる身寄りのない高齢者等に対する日常生活支援などを行う新たな第二種社会福祉事業の創設などが盛り込まれています。
<発言要旨>
①中山間・人口減少地域における特定地域サービス等の創設
今回、介護人材や専門職の確保が困難であることから必要サービス維持のために、地域の実情に応じた配置基準の柔軟化と包括的評価の仕組みが導入される。連合としては包括的評価の仕組みは評価するが、人員配置基準の柔軟化は、サービスの質や安全性への影響を十分に踏まえて慎重に検討すべきと考える。特に専門職員常勤・専従要件や夜勤要件の緩和は従来基準より少ない人数でサービス提供を行わざるえなくなることから確実に現場労働者の負担は増大する。深刻な人手不足の中、サービス維持のために現場労働者への負担を強いれば、人材確保はますます困難になると考える。
②介護支援専門員の更新研修の廃止
ケアマネジャーの人材確保難や重い業務負担が課題となる中、経済的・時間的負担が大きい更新研修の見直しには賛成の立場。ケアマネジャーにはシャドーワークと言われる法定外業務も存在している。今後はシャドーワークを無くし、本来業務に専念できるようにすることが重要だ。なお、専門職としての新たな知識や技能を習得するための研修は引き続き受講が必要だが、業務上必要な研修の場合は受講時間は労働時間に該当する。費用についても事業者負担であり、労働者本人が負担することにならないよう申し添える。
③住宅型有料老人ホーム入居者に対するケアマネジメント費用の有料化
介護保険サービスにおけるケアプラン作成は介護サービス利用の入口であり、誰もが利用できる制度となるよう制度創設時に無料(10割給付)とされた。今回、住宅型ホーム入居者に対して、ケアプラン等を作成する新たな相談支援類型がつくられ、原則1割の利用者負担が求められることについては、連合としては反対。同じくケアが必要な障がい者の分野を見ても、ケアの入口である障害者総合支援法における計画相談支援は無料で提供されている。他の同様の制度との整合性も踏まえて、制度設計すべき。
④介護福祉士養成施設卒業者に係る経過措置の見直し
この間繰り返し延長されてきた経過措置の再延長には反対の立場。国家資格は介護福祉士の質を担保するものであり、国籍に関係なく、公正にキャリアとして評価される資格にしていくべきだ。介護福祉士の専門職としての地位を高めることは、働く人のやりがいや労働条件向上につながる。国家資格の信頼性を損なう経過措置については、当初の予定どおり終了するべき。
⑤頼れる身寄りがいない高齢者等を対象とする第二種福祉事業の新設について
今後、単身世帯の増加等が見込まれる中、頼れる身寄りがいない高齢者等や判断能力が不十分な者を対象とする日常生活や入院・入所手続、死亡時事務等を支援する事業を新たに第二種福祉事業の中に位置づけることは多様な地域生活課題の解決に資する支援だと概ね評価している。しかし、介護同様に福祉の現場も人手不足の状況だ。よい制度があってもそれを担う人材がいなければ意味がない。制度の実効性を高めるためには、適切な人員体制の確保と処遇改善が不可欠である。
以 上