連合ニュース 2026年

 
2026年06月16日
連合・連合総研共同シンポジウム「働き方の多様化と法的保護のあり方」を開催
~請負就業者とプラットフォームワーカーの就業実態及び国際動向を踏まえて~
シンポジウムの様子
 連合は6月11日、連合総研と共同で、シンポジウム「働き方の多様化と法的保護のあり方~請負就業者とプラットフォームワーカーの就業実態及び国際動向を踏まえて~」を開催しました。
 
 請負就業やプラットフォームワークなど、従来の典型的な雇用関係に必ずしも当てはまらない働き方が拡大する中、労働者概念を問い直す必要性が生じています。こうした問題意識を踏まえ連合は、2024年10月より連合総研と共同で研究委員会を設置し、労働者概念の範囲や必要な保護の研究を進め、2026年3月に研究成果がとりまとまりました。本シンポジウムは、当該研究成果(※)を報告するために開催したもので、構成組織、地方連合会、研究者、報道関係者など約250名が参加しました。

(※)働き方の多様化と法的保護のあり方~請負就業者とプラットフォームワーカーの就業実態及び国際動向を踏まえて~ -労働者概念の在り方に関する調査研究報告書-
 
1.主催者あいさつ
 冒頭、主催者を代表し、連合総研の清水 秀行 理事長が、「研究委員会では、アンケート調査などを通じて、フリーランスなどの就労実態や保護ニーズを明らかにし、法的・制度的な課題についての議論を積み重ねた。研究成果が、フリーランス保護に向けた一助となることを祈念する」とあいさつしました。
 
2.基調講演
 研究委員会主査を務めた、橋本 陽子 学習院大学法学部教授より、研究成果概要について報告がありました。
【研究委員会提言骨子】
(1)フリーランス法について
 ・取適法並びで「協議に応じない一方的な代金決定」に相当する規定を設ける
 ・プラットフォームについて、仲介事業者に関する規制を設ける
(2)労働者概念の見直しについて
 ・事業者性が労働者性と対比される概念であることを明確にすることの必要性
 ・「業務の性質上当然」の拘束と、指揮命令権の行使の区別の明確化
 ・組織に組み込まれているかという観点を重視する基準(編入)を考慮
(3)迅速な労働者性の認定手続の必要性
 ・ドイツの社会保険法の被保険者資格の認定手続のような行政認定手続の可能性
 ・労働者性の推定規定の導入の可能性
(4)プラットフォーム労働の法規制に向けて
 ・プラットフォーム労働の定義
 ・アルゴリズムの透明性確保の必要性
・使用者性の問題
(5)社会保険(被用者保険)の適用範囲の見直し
・「使用される者」を柔軟に解釈することによるフリーランスへの適用拡大
・週所定労働時間、保険料の事業主負担等に関する「連帯」の観点からの検討
 
3.報告
 基調講演に続き、研究委員会に参画した研究者6名より報告がありました。
 
【加藤 健志 労働調査協議会事務局長】
 研究委員会で実施した「請負・プラットフォームワーカーの実態に関するアンケート調査」結果の概要について報告がありました。調査結果では、フリーランス法の認知度が低い結果などが明らかとなりました。
【多田 英明 東洋大学法学部教授】
 2024年11月に施行されたフリーランス法の成果と課題について報告がありました。具体的には、フリーランス法がプラットフォームを念頭に置いた規定を欠いている課題などが指摘されたうえで、法規制の強化の必要性について言及がありました。
【柴田 洋二郎 中京大学法学部教授】
 フリーランスを被用者保険へ包摂を検討する際の論点整理が行われ、被用者保険適用基準である週所定労働時間の扱いなどについて問題提起がなされました。また、事業主によるフリーランスの保険料負担については、事業主がフリーランスの労務提供から利益を得ている点をもって正当化し得るとの指摘もありました。
【井川 史郎 中央大学法学部教授】
 EUプラットフォーム労働指令の意義について報告がありました。具体的には、同指令では、労働者としての保護、第三カテゴリーを設けての保護、労働者性に依存しない包括カテゴリーを設けての保護を複層的・相互補完的に用い、誤分類対策として「労働者の推定規定」と「事実優位原則」が用意されている点などが報告されました。
【千谷 真美子 連合総研主任研究員】
 ILOの議論を中心に、労働者性に関する国際的な議論の動向と日本への示唆について報告がありました。特に「雇用関係の推定規定」の導入の検討も含め、契約の入口段階からフリーランスを保護し得る法制度の必要性について指摘がありました。
【橋本 陽子 学習院大学法学部教授/研究委員会主査】
 近時の裁判例の特徴を踏まえ、労働法上の労働者性の見直しについて提起がありました。特に裁判例では、実態として生じている拘束などを「業務の性質上当然」であるとして労働者性の判断要素における指揮命令を示す事情とは認めず、労働者性が否定される傾向があることなどの問題提起がありました。
 
4.まとめ
 冨髙 裕子 連合副事務局長が、「本日は、労働法、社会保障法、フリーランス法といった複数の法領域にわたる課題整理と政策提言を行っていただいた。今後は提言を連合として受け止め、『労働者性の推定規定の導入』も含め、政策を前に進める段階だ」とあいさつ。最後に、市川 正樹 連合総研所長が参加者に謝辞を述べ、シンポジウムを締めくくりました。
 
以 上