2026年3⽉23⽇午後、⾸相官邸で「政労使の意⾒交換」が開催された。
連合から芳野会⻑、神保事務局⻑が出席し、芳野会⻑から「2026春季生活闘争の状況」について意⾒表明を⾏なった。
<芳野会⻑の発⾔要旨>
連合は「人への投資」を起点に、物価も賃金もあがらない日本社会の転換に取り組んできた。2024年、2025年と2年連続で5%台の高い賃上げが実現し、2026年も高水準の回答が続いているが、その成果を中小や労働組合のない企業へ波及させることが課題である。過去4年間の賃上げ率分布では、5%以上獲得した組合数は増加した一方、半数以上は5%未満にとどまり、すそ野拡大が必要である。多くの国民は物価高のもとで生活が苦しいと感じており、生活向上を実感できる年にする必要がある。
日本の賃金水準は主要国中最下位であり、実質賃金を1%上昇軌道に乗せ、中期的に持続させることが求められる。そのためには中小・小規模事業者が持続的に賃上げできる環境整備が不可欠だが、適正な価格転嫁と適正取引の徹底は道半ばである。連合も産業別の出前相談会などで取適法の浸透に努めているが、政府全体での一層の周知徹底、監督指導を望む。さらに公的分野や官公需での価格転嫁や重点支援地方交付金の活用による支援も重要である。
労働組合の有無による賃上げ率の差は明確であり、地方版政労使会議による機運醸成に加え、さまざまな方法で組合のない企業への賃上げ波及を図る必要がある。中東情勢による燃料価格上昇などの悪影響を最小限にとどめ、国民の不安感払しょくに向け、政策対応の速やかな実施を要望する。
加えて、経団連、日商、全国中央会、全国連からの発言の後、出席閣僚からそれぞれの取り組みについて報告があり、最後に高市⾸相は意⾒交換を踏まえ次のように述べた。
<高市首相の発言要旨>
芳野連合会長から、今年の春季労使交渉について、第一回回答集計は一昨年、昨年と同水準の5.26パーセントとなったとの報告を受けた。また、筒井経団連会長から、賃上げの力強いモメンタムの更なる定着に向け、「社会的責務」として取り組んだ結果、多くの企業で今年も高い水準の回答がみられたとの報告を受けた。昨年11月の政労使の意見交換で、「政府は賃上げを事業者に丸投げせず、継続的に賃上げできる環境を整備する」との高市内閣の方針について理解を得て、経済対策や補正予算により事業者を後押ししてきた成果である。
今後はこの賃上げの勢いを地方の中小企業や小規模事業者にも広く波及させることが重要である。本日、中小企業関係団体から、防衛的賃上げを強いられている状況や、官公需を含む価格転嫁、生産性向上支援の強化、中東情勢が日本経済に及ぼす影響への懸念が示された。
春季労使交渉の賃上げの流れを中小企業・小規模事業者の賃上げにつなげるため、取適法の厳正な執行をはじめ、価格転嫁・取引適正化を徹底する。加えて、「稼ぐ力」の抜本強化として、伴走支援、生産性向上・省力化支援、事業承継やM&Aの環境整備に取り組む。
高市内閣は「責任ある積極財政」の下、研究開発や設備投資を促すため、複数年度予算や長期基金による政策支援、当初予算重視の予算編成を進め、予見可能性を高める。さらに賃上げ環境整備政策を強化し、夏に「日本成長戦略」を策定する。中東情勢への対応として、3月16日から石油備蓄を放出、19日から石油製品価格抑制の補助を開始し、代替調達も確保する。明日「中東情勢に関する関係閣僚会議」を設置し、経済への影響を注視しつつ対応していく。
以上