連合ニュース 2025年

 
2025年12月24日
法務大臣に対し、連合の重点政策を要請
手交の様子

 連合は、12月23日、平口法務大臣に対して、「2025年度 連合の重点政策」および法務省関連政策の要請を実施しました。
 
 冒頭、神保事務局長が「働く者・生活者の声を政策として積み上げてきた。人権保障や労働者の権利保護に向けて、本日の要請内容を今後の政策に反映いただきたい。」と挨拶しました。平口大臣は「労働分野をはじめ、国民生活に寄り添った法務行政を目指す上で、このような形で直接意見を伺うことが重要である。本日の意見や提言を十分に検討し、施策に活かしていきたい。」と応じました。

 その後、神保事務局長から平口大臣に要請書を手交し、連合側が主な要請内容(下記4項目)を説明しました。

○裁判員裁判対象事件・検察独自捜査事件に限らず、全事件の取調べの全過程を録音・
 録画することを制度化する。
○労働債権の優先順位を引き上げるとともに、労働債権の一部について、別除権(抵当権
 ・質権・譲渡担保権等)に優先させる制度(労働債権の特別な先取特権)を新たに創設
 する。
○結婚により姓を変更している圧倒的多数は女性であり、その不利益や負担が著しく偏っ
 ていること、政府が進める旧姓の通称使用には限界があること、ならびに2024年10月
 に国連女性差別撤廃委員会から導入を求める4度目の勧告が行われたことを踏まえ、
 男女不平等を是正し、人権の尊重、個人の尊厳を基底に置いた社会実現のため、選択
 的夫婦別氏制度をただちに導入する。
○改正民法(家族法)施行までの間に、子の権利利益の確保のための父母の責務の明確化
 などの法の趣旨および国会審議の内容や、関係府省庁・関係機関の連携による対応内容
 について、国民、地方公共団体、学校および病院をはじめとした現場への十分な周知や
 啓発活動を行う。
 改正民法(家族法)施行後に、法の運用状況について公表するとともに、法による子の
 利益の確保の状況、DVや児童虐待などを防止して親子の安全・安心確保に資するもの
 となっているかなどについて検証し、必要に応じて制度の見直しについて検討を行う。
 

  法務省は、これらに対し「取調べの可視化を含め、『これからの刑事手続に関する研究会』(研究会)で議論が行われており、充実した議論が行われるよう努める」、「労働債権保護は、譲渡担保法の附帯決議等を踏まえ、倒産時の労働債権回収に係る実態調査を行うことを検討している」、「選択的夫婦別氏制度について、平成8年の法制審答申を重く受け止めるべきと認識しているが、国民の間にも賛否があり、今後も各層の意見や国会での議論の動向を注視して検討していく」、「改正民法(家族法)について、法務省ではWEBやパンフレット等で周知を進めてきた。国会議論などを反映したQ&A資料を活用し、改正法の円滑な施行と理解促進に取り組んでいく。同法の附則を踏まえ、施行後の状況把握と検証方法を検討する」と回答しました。

 意見交換では、連合が「今年7月に取りまとめられた『改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会』報告書において、えん罪防止や被疑者の人権保障には取り調べの録音・録画が不可欠であることが改めて示されたと受け止める。研究会では国民の不安解消に資する充実した議論をお願いしたい」、「労働債権に関する実態調査について、実施時期や調査結果の公表の有無、調査結果を踏まえて労働債権回収のあり方について検討が行われるのか教えていただきたい」、「第6次男女共同参画基本計画に示された旧姓使用への法的効力付与について、想定する制度内容や平成8年の法制審答申との整合性についての考え方と、法制化となった場合の審議の場についても伺いたい」と述べました。
 
これに対して法務省は「研究会にて録音録画対象拡大を含む制度改正や運用見直し等議論してもらいたいと考えており、法務省として充実した審議となるようサポートしていく」、「具体的な時期は未定だが、裁判所における倒産記録等の調査を速やかに実施したい。結果を踏まえ、倒産法制における労働債権について検討の場を設けたい」、「旧姓使用の法制化は関係省庁と検討中であり、具体像は現時点で示せない。答申との関係では、姓には多様なあり方があり同答申を否定するものではなく、その意義は失われていないとの認識である。現段階で改めて法制審へ諮問はせず、審議も予定していない」と回答しました。
 
 最後に、神保事務局長が「意見交換を通じ理解が深まった。政策実現に向け、今後も指導を仰ぎつつ連携させていただきたい」と締めくくりました。

以 上