要請書手交の様子
連合は8月25日、出入国在留管理庁(以下「入管庁」)に対し、外国人労働者の受入れ制度の適正化等に関する要請を実施しました。
冒頭、清水事務局長は、現行の技能実習制度および特定技能制度において労働法などの法令違反があることに触れ、「現行制度の適正運用に向けた一層の監督指導が重要」、「参議院選挙では外国人労働者政策が争点となった。外国人労働者が安心かつ安全に働くことができる制度設計が求められる」などと述べました。
これを受けて、入管庁の丸山長官は、「要望事項は、現場の声を踏まえた重要な示唆。しっかり受け止め、今後の検討に活かしていきたい」等と述べました。
続いて、冨髙総合政策推進局長から要請内容を説明した後、要請項目に対する回答として、入管庁から、技能実習制度および特定技能制度の適正運用の確保などに向け縷々対応をはかることに加え、以下の点が述べられ、その後意見交換を行いました。
(すべての外国人労働者の権利保護)
〇入管庁は毎年6月を「共生社会の実現に向けた適正な外国人雇用推進月間」と定め、関係行政機関などと連携し、在留手続や労働関係の情報提供や、事業主等に人権侵害などの不適切な行為を行わないことなどの啓発活動を行っている。
〇日本人と外国人が互いに尊重し、外国人が安全安心に暮らせる共生社会の実現に向けた意識の醸成とともに、労働法など関係法令の理解促進に努めたい。
〇外国人労働者の受け入れにより、経済や産業の活性化などにつながる一方、社会保障などにかかるコストの増加などの懸念の声もある。多様な意見を聞きながら、政府全体で幅広い検討が必要。
(外国人技能実習制度および特定技能制度の適正運用)
〇技能実習制度は外国人技能実習機構と労働基準関係機関で連携し、実地検査の合同実施などを行っている。特定技能所属機関などに対して、適正な受入および支援が行われているか書面で確認し、指導助言を行っている。入管庁として、引き続き両制度の適切な運用に努めていく。
〇監理団体の外部監査人、外部役員について、機構における実地検査において監査が適切に実施されているか確認する。また、養成講習の内容等について、育成就労制度創設にあたり工夫や内容の充実化などについても検討したい。
〇技能実習生、特定技能外国人の雇用の確認を確実に行うとともに、関係者に周知を行い、同等報酬が担保できるよう取り組みたい。
(改正法の施行に向けた対応)
〇育成就労制度創設にかかる必要な予算の確保については、業所管省庁にも要望を伝え連携していきたい。
〇改正法の政省令や分野別方針などについて、有識者会議において丁寧に議論いただけるよう、議事運営に努めたい。
最後に、清水事務局長は「労働人口減少や少子高齢化の中、地域における多文化共生が問われている」、「最低賃金を含め、現下の賃上げの状況のもと、国籍にかかわらず賃上げにコミットできることが重要」、「連合としても引き続き産業や地方の要望など伝えていきたい」と述べ、閉会しました。
以 上