要請書手交の様子(手交右:庄子大臣政務官、手交左:伊藤副会長)
連合は8月5日、農林水産省に対して「2025年度連合の重点政策」に関する要請を行いました。(要請書は別紙参照)
冒頭、庄子農林水産大臣政務官へ要請書を手交し、伊藤副会長より「『働く者を軸とする安心社会』の実現に向け、働く者・生活者の声を集めた要請書を手交させていただいた。また、食品部門連絡会では、フードバリューチェーン全体での『食』の適正価値の実現に向けた運動を展開している。食料システム法を適正に執行するとともに、要請内容を来年度予算や政策に反映いただくようお願いしたい」とあいさつしました。
庄子政務官からは「直近では米の価格高騰や生産現場の渇水などで、消費者・生産者の双方から懸念や心配の声をいただいている。食料の安定供給に向けて、安心安全を届ける農林水産省の役割をしっかり果たしていきたい」とあいさつがありました。
続いて、冨田総合政策推進局長が要請内容を説明し、庄子政務官から個別項目に対する回答がありました。
最後に、清水事務局長から「米も売場に並ぶようになってきたが、米問題に対応するためには農林水産業を魅力ある産業にしていくとともに、食料自給率を引き上げる必要がある」と、伊藤副会長からは「食料システム法は生産者と消費者の双方にとって納得のいく価格をめざす重要な法律である。1つ付け加えるならば、その中間の製造や流通が低位な労働条件にあり、人手不足が深刻なため、バリューチェーン全体で共存共栄できるようにお願いしたい」とそれぞれ発言がありました。
【要請のポイント】
○国は、食料システムにおける合理的な価格形成に向けて、生産、加工、流通、販売などの各段階において、コスト上昇分の価格転嫁や付加価値を適正分配する、実効性ある仕組みを構築する。
○国・地方自治体は、食料安全保障の確保には国民の理解醸成が不可欠なことを踏まえ、食料システムにおける合理的な価格形成や地産地消・国消国産の推進に資する、食育・消費者教育の取り組みを一層推進する。
○国・地方自治体は、集落・地域の農業従事者の合意を前提に企業の農業参入をはかるとともに、法人雇用による就農の拡大、大規模家族経営や集落営農や経営の法人化など、多様な農業生産組織による担い手を育成・支援し、地域の再生および新規雇用の創出をはかる。
【庄子政務官からの回答】
●食料システム法を通じて、安い方がよいという商習慣から、生産コストが適正に価格転嫁できるようにしていきたい。コスト指標を今年度中に作成し、来年4月からの施行に間に合うよう対応を進めている。また、20名程度の専門職員を配置し、2万件の事業者アンケートやヒアリングによる実態調査を行うとともに、現場で適正に取引されているか指導していきたい。
●消費者の理解を得ることは食料システム法の実効性確保に向けて重要なポイントである。農林水産省ではフェアプライスプロジェクトとして動画の発信やシンポジウムの開催などを行ってきた。取り組みを強化して国民運動に引き上げていきたい。
●農業の担い手不足や高齢化は深刻な課題であるため、雇用就農を深掘りし、より支援していく必要がある。都道府県単位で就農支援センターを設置しており、就農条件・労働環境の改善に取り組んでいく。