要請書手交の様子
連合は7月2日、伊原厚生労働事務次官に対し、「2025年度 連合の重点政策」に関する要請を実施しました。厚生労働省に対する要請は、6月26日に実施した福岡厚生労働大臣に対する要請に続くものです。
冒頭、清水事務局長が伊原事務次官に要請書を手交した後、「本日の要請項目は、私たちの仕事と生活に直結する内容であり、厚生労働行政にぜひとも反映いただきたい」と挨拶を行いました。
伊原事務次官は2025春季生活闘争の成果などに触れたうえで、「日頃から働く方々、生活者の立場から様々な活動に精力的に取り組み、厚生労働行政へ協力いただいていることに感謝する。本日は忌憚のない意見をいただきたい」と述べました。
次いで、要請内容(10項目)について厚生労働省から以下の回答がありました。
【育成就労制度および特定技能制度の実効性確保】
適正受入れに向けて労働基準監督署や外国人技能実習機構の監督・指導を行う。機構の体制整備の必要性は骨太の方針2025でも明記しており、対応していく。また、分野ごとの受入れ数の設定は有識者会議で議論していく。
【労働者性の見直しなど、曖昧な雇用で働く者の保護】
フリーランス新法の施行状況も踏まえ必要な対応を行う。労働者性がある場合には適切に保護を受けられるよう相談窓口を設置するなど対応。個人事業者の安全衛生対策は、改正労働安全衛生法の円滑な施行に向けて対応していく。
【事業組織再編時の労働者保護】
倒産時の労働債権の保護は重要であるが、優先順位は他の債権との関係も含めた検討が必要。組織再編時の労働者保護ルールは、組織再編部会で検討する。
【雇用保険財政の安定化】
雇用保険財政は機動的に一般会計から繰入が可能な仕組みの活用も含め、適正な財政運営に取り組み、セーフティネットの役割を果たせるよう努める。
【働く者のための労働基準関係法の見直し、長時間労働の是正】
労働基準関係法制は、労働条件分科会で労使の意見を踏まえ議論を深める。上限規制は働く人の命と健康を守る役割があり、違反には厳正に対処していく。
【ILO190号条約批准に向けたハラスメント禁止規定創設、カスハラ対策】
先の国会で成立した改正労働施策総合推進法等は、ハラスメントを行ってはならないことを法文上明確にするなど、条約批准に向けた環境整備に資する。ハラスメントのない社会の実現に向け、業所管省庁などとしっかり連携する。
【ひとり親世帯やヤングケアラーなどへの支援体制強化、現場人材の処遇確保】
生活困窮者などへの包括的支援体制の整備や、見守りを含む居住支援の強化、子どもの学習支援、生活習慣や育成環境の改善支援などを一体的に行うよう自治体に働きかけていく。また支援員の確保に向けた取り組みを進めていく。
【切れ目のない医療提供体制の構築と医療人材の処遇改善】
2040年頃を見据え、新たな地域医療構想の策定を通じて医療提供体制全体の課題解決をはかるとともに、医師偏在対策の総合的な政策パッケージを進めていく。処遇改善は喫緊の課題であり、必要な対応を検討していく。
【介護人材の処遇改善と業務負担軽減】
公定価格の引き上げに向けて、既存施策の効果検証を行ってコストカット型からの転換をはかりたい。また、訪問介護における同行支援や、中小事業所へのICTやAIなど新技術の導入支援などを強化したところである。
【被用者保険の適用拡大】
被用者保険の段階的な施行前に任意で加入できる制度を後押しする。第3号被保険者については、実態を精緻に分析しながら検討を進める。
その後、要請項目に関連する意見交換を行いました。
最後に、清水事務局長が「多岐にわたって要請・意見交換させていただいたが、様々な課題が山積しており、課題解決に向けて一緒に取り組んでいきたい」と述べました。これに対して、伊原事務次官が「今後も連合にも協力いただき、十分な議論を重ねながら、より良い労働行政や社会保障政策に全力で取り組む」と述べ、締めくくりました。
以 上