要請書手交の様子
連合は2025年6月27日に、公正取引委員会に対し、2025年度連合の重点政策とあわせて、中小受託取引適正化法・受託中小企業振興法の施行に向けた準備や、「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画」の着実な実行など、要請を行いました。
冒頭、清水事務局長から茶谷公正取引委員会委員長に「取引の適正化」実現に向けた要請書(添付)を手渡したのち、「連合は6月5日に第6回回答集計結果を公表した。新たに回答を引き出した組合にも『賃上げの流れ』はしっかりと引き継がれており、2024を上回る賃上げ率を実現している。組合員の生活安定や『人への投資』など中長期的視点を持って粘り強く真摯に交渉した結果であり、新たなステージの定着に向け前進したと感じている。先日までの第217回通常国会で『中小受託取引適正化法(旧:下請法)』『受託中小企業振興法(旧:下請振興法)』が施行日を2026年1月1日に修正のうえ可決・成立したことは、2026春季生活闘争における、中小企業等の持続的な賃上げに向けた社会的な環境整備につながるものである。すべての働く者・生活者の雇用と生活を守るため、サプライチェーン全体の維持・確保に向けた事業者に対する支援の拡充など、公正取引委員会のより一層の取り組みの強化をお願いする」と挨拶しました。
具体的な要請内容については仁平総合政策推進局長から、以下の3点を説明しました。
・中小受託取引適正化法・受託中小企業振興法の着実な実行と継続的な課題への対応
・労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針の周知と取引慣行の改善
・「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画」の着実な実行
要請を受けた公正取引委員会・茶谷委員長からは、「連合の皆様には、日頃より公正取引委員会の取り組みに多大なるご協力を賜り感謝申し上げる。連合の集計では、昨年を上回る賃上げ率を実現しているとのことであるが、これは賃上げが日本経済に定着してきたのであると感じる。政府も、成長戦略の実現には、国民所得の向上、経済成長、中小企業の賃上げなどが不可欠であるとしている。2025年5月16日に「取適法」が可決・成立した。2026年1月1日からの施行に向けて、政省令・規則・ガイドラインの準備を進めている。関係者への周知・徹底が必要であり、連合のみなさまからも協力をお願いしたい。旧下請法では、21件の是正勧告を行った。企業名を公表したことも反響が大きかった。とりわけ、地方に目を向けると様々な課題がある。附帯決議にもあった、公正取引委員会の体制強化にも取り組んでいくので、引き続き、連合のみなさまとも連携して取り組みを進めたい。『労務費の転嫁のための価格交渉に関する指針』は、12の行動指針により発注者・受注者の適正取引を進めるものだが、認知度が約50%程度であり、継続的な賃上げの実現のためにも、労務費指針の周知・徹底に関しても連合のみなさまのお力添えをいただきたい。12万社に対しての特別調査を展開しているところであり、取適法の施行に向けた準備を着実に進め、連合のみなさまの協力も得ながら、公正な競争政策に取り組んでまいりたい」と発言がありました。
最後に清水事務局長は、「2025春季生活闘争は収束に向かっており、これからは中央最低賃金の議論へと移っていく。賃上げのステージは一段あがったと感じるが、実質賃金の向上のためには、あくまでも月例賃金を引き上げることがベースであり、好循環に繋げたうえで、2026春季生活闘争へと流れを引き継いでいくことが重要である。連合の学習会やシンポジウムに貴委員会から講師を派遣いただくことなども含めて、法施行に向けた準備を着実に進めていただきたい」と述べました。
茶谷委員長からは、「来週には弊委員会でも人事異動が予定されているが、遺漏なく部門内での引継ぎを行い、この間の流れを止めないよう、関係省庁一体となって取り組みを進めていく。連合の皆様には引き続き、ご協力とご理解をお願いする」と発言がありました。
以 上