要請書手交の様子
連合は、6月26日、福岡厚生労働大臣に対して「2025年度 連合の重点政策」の要請を実施しました。
冒頭、山中副会長が福岡厚生労働大臣に要請書を手交した後、「今後の予算編成や政策課題の解決に向け、要請内容についてご検討いただきたい」と述べたのち、清水事務局長が以下3項目を中心に重点政策要請事項の説明を行いました。
(1)働く者のための労働基準関係法制の実現に向けた見直しや集団的労使関係の強化、時間外労働の上限規制の遵守の監督・指導の徹底による長時間労働の是正
(2)ハラスメント対策について、業所管省庁との連携による企業の取り組み支援や、相談窓口の整備、ILO190号条約批准に向けての検討
(3)被用者保険の適用拡大の早期実現、第3 号被保険者の生活実態の分析、将来的な第3 号被保険者制度の廃止に向けた会議体の早期設置
要請を受けた福岡厚生労働大臣は「日頃から働く方々、生活者の立場から様々な活動に精力的に取り組むとともに、厚生労働行政にご理解・ご協力いただいていることに感謝申し上げる」と述べました。
その後、福岡厚生労働大臣および関係局長等から、以下のとおり回答がありました。
(1)労使間のコミュニケーションや労働時間規制の在り方も含め、労働条件分科会において、労使の意見を十分に聞きながら議論を深める。時間外労働の上限規制は、働く方々の生命と健康を守り、希望する誰もが労働参加するために重要な役割を果たしており、違法な長時間労働等には引き続き厳正に対処していく。
(2)先の国会で成立した改正労働施策総合推進法等において、職場におけるハラスメントを行ってはならないことを法文上明確化し、国が規範意識の醸成に取り組むほか、カスハラ対策や就活等セクハラ対策を事業主に義務付けた。これらは、ILO第190号条約の批准に向けた環境整備に資するものと考える。関係省庁としっかり連携しつつ、相談対応や事業主への助言指導など、改正法の着実な施行をはかり、ハラスメントのない社会の実現に向けて取り組む。
(3)被用者保険の適用拡大は、より手厚い保障を受けられる方を増やすとともに、自らの希望に応じた働き方を実現する観点から取り組んでいる。本人負担を軽減する保険料調整制度を早期に施行するなど、任意加入を後押しする。第3号被保険者は、病気や育児・介護などで働けない方など、様々な属性が混在する中で、改正法の検討規定に基づき、実態も精緻に分析しながら、制度に関する様々な論点や国会での指摘も踏まえて、検討を進めていく。
その後の意見交換の中で、連合からは、
(1)「時間外労働の上限規制はやりすぎ」「働きたい人が働けるようにすべき」との声も聞く。働き方改革関連法が成立した背景には「長時間労働を是正し、過労死をなくす」という共通の思いがあったことを改めて共有し、議論を進めるべき
(2)被用者保険の拡大は、早期に進めることで、老後の所得補償をはかるべき。第3号被保険者について、実態の分析や議論の場の設置に早期に取り組むべき
ことなどを、改めて指摘しました。
最後に、山中副会長が、「長時間労働者やハラスメント、年金の問題はいずれも職場に限らず、全国民にとって重大な問題であり、引き続き真摯に議論していくことが重要」と改めて強調しました。
これに対し、福岡厚生労働大臣は、「厚生労働行政は一つ一つが国民生活に密着しており、多くの課題が山積している。今後とも、連合の皆様のご意見をしっかりと伺い、十分な議論を重ね、協力いただきながら、厚生労働行政の推進に全力で取り組んでいく」と述べ、締めくくりました。