連合ニュース 2025年

 
2025年05月22日
芳野会長、「第9回新しい地方経済・生活環境創生会議」で意見表明
 5月22日、「第9回新しい地方経済・生活環境創生会議」(議長:伊東地方創生相)が中央合同庁舎で開催されました。今回の会合では、「地方創生2.0の『基本構想』の骨子案」について意見交換が行われました。
 連合からは構成員として芳野会長が出席し意見表明しました。
 
<芳野会長発言要旨> 

〇本日は意見書を提出しているが、時間の関係もあることから、3点に絞って申し述べる。

〇1点目は「地方創生2.0の基本姿勢と10年後に目指す姿」について。地方創生2.0では、複数の政策パッケージにおいて、「10年後に目指す姿として定量的なものを示す」とされているが、その意味するところが不明確である。仮に、「定量的なもの」が10年後の社会像を評価する「指標」であるならば、これまでの取り組みの反省や今後の経済・社会情勢の変化を充分に反映するためにも、「定量的なもの」は複数設定することを基本に、複合的に評価できる体制の検討が必要と考える。

〇例えば、「若者や女性にも選ばれる地方をつくる」では、「性別にかかわらず、自分の能力や可能性を発揮し、働きたい人がいきいきと働きつづけられる」姿の定量的なものが複数設定されているが、日本にはいまだに「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」などといった固定的性別役割分担意識が根深く残っており、女性がいきいきと働き続けるためには、家族間・社会における慣習や慣行も含めて見直す必要があることから、「家事関連時間の男女差」などの指標についても設定する必要がある。

〇また、「安心して暮らせる地方をつくる」では、「日常の医療・介護サービスに不自由しない」姿の定量的なものとして「地域の医療・介護サービスの維持・確保を行う地方公共団体の割合について設定する」としているが、地域ごとの担い手の必要人数も検討する必要がある。医療・介護サービスの担い手の必要数は、医療計画や介護保険事業計画などで一定の見通しが示されているが、将来にわたる担い手の確保については懸念が示されており、より明確な目標値と更なる人材確保に向けた取り組みが必要と考える。

〇2点目は「各主体が果たす役割」について。地方創生交付金については、事業の採択要件や運用の条件緩和などの要望を踏まえ、国の役割として、「財政支援等についてはより柔軟に、より効果的に、より深く地域に根差したものへと発展させる」ことが重要である。十分な予算を確保した上で実効性ある取り組みとしていただきたい。

〇3点目は「政策パッケージ」について。「人や企業の地方分散」の政策例として、「副業・兼業の推進」が示されていますが、地方公共団体等の職員を含め副業・兼業は、事実上の任命権者等から強制または強要されるものでなく、労働者の自由意志にもとづくこと、また、長時間労働とならないためにも、労働時間の厳格な管理が必要である。

〇そのうえで、副業・兼業の推進は、地方公共団体等が各々の地域の実情に即して、自ら決めるべき事項であり、国の役割は事例の周知や求められた場合の助言に限定されるものであると考える。

〇最後に、「安心して働き暮らせる地方の生活環境の創生」の政策例の「実質賃金の引き上げ」は、新しい資本主義実現会議で議論している方針と整合性をとっていただきたい。​​
​​​​
以上