連合ニュース 2025年

 
2025年02月28日
芳野会長が「第31回新しい資本主義実現会議」で意見表明
2月27日、「第31回新しい資本主義実現会議」が首相官邸で開催されました。
今回は、国内投資と輸出の促進に関する論点について、構成員による意見交換が行われました。
芳野会長は所用のため、以下の内容の意見書を提出しました。

○中小企業の賃上げ実現にむけた経営基盤強化及び取引環境の整備
 中小企業の賃上げ実現には、中小企業の経営基盤の強化と取引環境の整備が何よりも重要であり、「適切な価格転嫁」と「適正取引」の実現にむけて、官公需も含めたサプライチェーン全体で取り組むことが重要。
 「労務費の適切な価格転嫁のための価格交渉に関する指針」が公表されて1年以上経過しているにも関わらず、昨年9月の調査でもコスト全般の価格転嫁率は5割程度に留まっている。指針のさらなる周知・徹底を求める。
 賃上げを中心とした「人への投資」を起点とする経済の好循環を実現し、賃金も物価も経済も安定した巡行軌道に乗せるためには、パートナーシップ構築宣言の拡大と実効性確保、今国会に提出予定の下請代金法及下請振興法改正案の早期成立と施行が不可欠であり、政府の迅速な対応を要請する。
 
○コンテンツ産業の就業環境改善と取引適正化にむけた取り組み
 鉄鋼産業や半導体産業の輸出額にも匹敵するといわれるコンテンツ産業を今後も維持・発展させていくには、制作に携わり、様々なサービスを提供しているフリーランスの方々が、公正かつ適正に評価され、安心して働き、能力を発揮することができるルールの整備が必要である。政府には、契約や報酬の引き上げを含めた労働環境などの課題解決に向け、昨年改定された「文化芸術分野の適正な契約関係構築に向けたガイドライン」の周知徹底と、さらなる施策の強化を求めたい。
 
○「従業員の企業価値向上への意欲を高める方策としての株式報酬」について
 「従業員の企業価値向上への意欲を高める方策としての株式報酬」を活用した投資策として、法務省に設置された「会社法制研究会」で、「従業員等に対する株式の無償交付」が検討されている。本研究会では、「従業員に対して株式の無償交付を行う場合には、交付される株式が労働基準法上の「賃金」(労働基準法第11条)に該当し、「賃金の通貨払いの原則」(労働基準法第24条)に抵触しないかが問題となり得ることから、この点について整理を要する。」とされながらも、現時点で整理するまでは至っていないと聞いている。まずは、労働法制との関係を整理すべきであり、それなくして拙速に議論を進めるべきではない。
 
以 上