手交の様子
8月1日、連合は渡辺由美子こども家庭庁長官に対して、「2024年度 連合の重点政策」に関する要請を行いました。
冒頭、清水事務局長より要請書を渡辺長官に手交し、
「『2024年度 連合の重点政策』の中から、該当する項目について要請の機会を頂戴した。こども誰でも通園制度について、子どもが良質な保育を受ける権利を守る観点から、保護者の就労に関わらず保育施設を利用できることが求められる。同じ施設を定期利用するほかに、保護者の都合で複数の施設を利用することが考えられる。その際、保育士などの職員は、保育施設に不慣れな子どもや保護者への対応をすることになり、新たな負担が生じる。また、4・5歳児の保育士の配置基準が30人から25人に見直されたが、OECD諸国と比較するとまだ保育士ひとりに対する子どもの人数が多く、さらなる見直しが必要。人手が不足すると保育者の目が行き届かず事故が発生する可能性も上がってしまう。施策の実行には、十分な担い手の確保が不可欠であり、現場で働く方の賃金や労働環境の改善をお願いする。
都市部を中心とした待機児童問題も解消していない。特に、放課後児童クラブの待機児童数は2024年5月時点の速報値で過去最多の18,462人となった。かねてより『小1の壁により就業継続を断念した』という声が聞かれている。希望する人数の子どもを生み育てながら、仕事を継続できるよう、両立に向けた環境整備が求められる。来年度予算への反映、そして社会課題の解決に向けて検討いただきたい」
と述べたうえで、佐保総合政策推進局長より「子ども・子育て支援サービスの提供体制確保」や「こども基本法にもとづく子どもの権利擁護」などに関する要請内容を説明しました。
要請を受け、渡辺長官から次の発言がありました。
〇先日、現場の保育士の声を聞く機会があった。こども誰でも通園制度について、一時預かり事業との違いや「すべての子どもの育ちを支援する」という制度の趣旨を周知する必要があると感じている。保育士は保育の質を担保することに加え、保護者との付き合い方に不安を感じていることがわかった。特に、保護者自身に支援が必要でも公的な支援を受けられていない保護者については専門外である。支援につなげるための保育施設へのサポート体制を整備し、専門知識を共有するなどの対応が必要である。処遇改善についても、加速化プランに基づき取り組みを進め、さらにその先も検討していく。
〇こども誰でも通園制度は子どもの育ちを支援するほかにも、虐待の危険性が高い0~2歳の育児期間に対する施策としての意義がある。2026年度の全国での実施に向けて準備を進めたい。今後、「こども誰でも通園制度の制度化、本格実施に向けた検討会」において、利用方法を検討しとりまとめする予定。また、保育士等の職員の負担軽減のため、こどもDXにも取り組む。今年度は、保育所等におけるインフラの整備を進めていく。
〇放課後児童クラブの待機児童について調査を進めている。4月からの利用を希望する待機児童数が半年後の調査では半減すること、4月と長期休みの利用希望が増加することがわかってきた。1.8万人の待機児童がいるからその分の受け入れを可能にするということではなく、保育所等の待機児童対策とは異なる柔軟な対策が必要だと考えている。
最後に、清水事務局長から「こども誰でも通園制度には月の利用上限が設定されているが、スポットで利用できるだけでなく、希望するすべての子どもたちが普遍的に利用できる保育が必要である。また、保護者にも保育者にも制度の具体的な内容をわかりやすく示していただきたい」と述べ、締めくくりました。
以上