要請書手交の様子
連合は8月1日、齋藤経済産業大臣に対して、連合の重点政策に関する要請を実施しました。
冒頭、清水事務局長が齋藤経済産業大臣に要請書を手交したあと、「わが国の抱える構造的な諸課題に加えて、物価高による国民生活の窮状が続いている。大臣は、GX・カーボンニュートラルの実現、国内投資の拡大、安定した物価上昇と継続した賃上げの必要性、中小企業の支援と価格交渉促進月間の取り組み強化など、連合の組合員や関連する産業・企業に関わる重要な課題について、各所で言及されている。2025の春季生活闘争に向けた議論を10月より開始するが、原材料価格の高騰が続くなか、価格転嫁などサプライチェーン全体での取引適正化の推進、とりわけ中小・小規模事業者へ強力な支援の施策を重ねてお願いする。また、本日の要請する内容は、2026年度予算編成において、貴省の政策に反映していただくようお願いする」と挨拶を行いました。
続いて、冨田総合政策推進局長が要請書の説明を行いました。
齋藤大臣からは、以下の主旨の回答がありました。
・デジタルインフラについては、自動運転やAIといった技術の社会実装を進める内容のデジタルライフライン全国総合整備計画を6月に決定した。先行地域における施策を確実に遂行し、成功事例を横展開していきたい。
・クラウドについては、運用機関を国内に確保し、そのためにも経済安全保障推進法に基づいた重要物資の指定、技術基盤の開発を引き続き支援していく。
・人材育成ついては、デジタル人材育成プラットフォームを通じた実践的な教育コンテンツの提供や、GXリーグにおけるGXスキル標準の策定・公表をしっかりやっていくことに加え、賃上げ促進税制において教育訓練費を増やす企業への税額控除率の上乗せ措置などを講じていく。さらに、関係省庁と連携しながら、引き続き個人の学び直しや企業による人材育成を強化していきたい。
・公正な移行の推進について、GX推進法やGX推進戦略において、明確に位置づけさせていただいた。具体的にはGX経済移行債による投資支援策によって、排出削減に対応した強い産業の創出・転換を進め雇用の創出にもつなげていきたい。あわせて、リスキリング等の人材育成の取り組みとGX分野を含む成長分野への円滑な労働移動を進めることが重要と考える。
続けて行った意見交換での経済産業省からの主な発言内容は以下のとおりです。
・2年続けて労使交渉により賃上げが実現している。我々は潮目の変化と申し上げているが、来年も賃上げの勢いを継続していきたいという思いを強くしている。資金を借りて投資を拡大する企業にとっては、穏やかに物価が上昇していく状況であると返済がしやすい。その際、実質賃金が下がってしまってはならず、同時の賃上げが必要である。物価と同時に賃金も上昇し、投資の増額が需要につながる社会を作っていかなければならない。この賃上げの流れを継続し、日本社会に浸透させていきたい。
・経済を動かす要は中小企業である。価格転嫁をしっかりとできるよう支援し、成長を後押ししていきたい。