要請書手交の様子
連合は7 月29 日、伊原厚生労働事務次官に対し、「2024年度 連合の重点政策」に関する要請を実施しました。厚生労働省に対する要請は、5月24日に実施した厚生労働副大臣及び政務官に対する要請に続くものです。
冒頭、清水事務局長が伊原事務次官に要請書を手交した後、「本日の要請項目は、私たちの仕事と生活に直結する内容であり、厚生労働行政にぜひとも反映いただきたい」と挨拶を行いました。
伊原事務次官は2024春季生活闘争の成果などに触れたうえで、「厚生労働行政は、一つひとつが国民生活に密着したもの。連合のご意見をしっかり伺い、十分な議論を重ね、協力も得て、全力で取り組む」と述べました。
次いで、要請内容(10項目)について厚生労働省から以下の回答がありました。
【育成就労制度および特定技能制度の実効性確保】
外国人育成就労機構を中心に、不適正事案への対応や育成就労外国人に対する転籍支援を行う。なお、特定技能外国人の受入れ数等は、日本人の雇用喪失防止等の視点を踏まえつつ、今後は労使も参画する会議体で対応をはかる。
【労働者性の見直しなど、曖昧な雇用で働く者の保護】
まずはフリーランス新法の施行状況も踏まえ必要な対応を行う。また、個人事業者の安全衛生対策は今後、注文者が実施すべき事項などについて労政審で検討する。さらに、労働者性の判断基準はその適切性について不断に確認する。
【解雇の金銭解決制度の導入阻止】
政府としては、金銭を払えば自由に解雇できる制度としないことを前提に検討を行っている。今後は、解雇紛争などの調査結果を踏まえ、労使の意見を伺いつつ丁寧に議論を行う。
【事業組織再編時の労働者保護】
事業再編時の労働者保護は重要な課題。先の国会で成立した事業性融資推進法による企業価値担保権の創設を踏まえ、事業譲渡指針の改正の検討を行う。
【働く者のキャリア向上に向けた「人への投資」の必要性】
「三位一体の労働市場改革」の一環として、リスキリング支援を取り組んでいる。例えば、2024年度予算では、非正規雇用労働者が働きながら学ぶことができるような新たな職業訓練の試行実施を措置している。
【ILO190号条約批准に向けたハラスメント対策関連法改正】
条約批准に向けては、保護対象にボランティアなどが含まれる点などついて、国内法制との整合性の検討が必要。今後は「雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会」の議論を踏まえ、ハラスメント対策強化に向け検討を進める。
【困難を抱える女性に対する包括的な支援体制の整備】
本年4月施行の「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」のもと、官民の関係機関が連携し、訪問や巡回による相談、居場所の支援などの包括的な支援の提供に取り組む。支援を評価する仕組みは検討会で検討を開始した。
【生活困窮者自立支援制度の実施体制の強化】
2024年度予算において、自立相談支援事業の国庫補助基準を見直し、アウトリーチの体制整備を評価する加算等を創設した。今後も適切な支援を提供に向けた人材と財源確保に取り組む。
【診療・介護報酬改定の影響検証を踏まえた、切れ目のない提供体制の構築】
切れ目のない提供体制の構築に向け、今般の介護報酬改定では3種類あった加算を「介護職員等処遇改善加算」への一本化などを行った。今後は処遇改善加算の取得支援に取り組んでいく。
【社会保険の適用拡大】
「全世代型社会保障構築会議」報告書において、企業規模要件の撤廃や常時5人以上を使用する個人事業所の非適用業種の解消は早急に実現すべきと指摘されている。今後は年金部会で年末の取りまとめに向けた検討を進める。
その後、要請項目に関連する意見交換を行った後、清水事務局長が「多岐にわたって要請・意見交換させていただいたが、様々な課題が山積しており、課題解決に向けて一緒に取り組んでいきたい」と述べ、締めくくりました。
以 上