要請の様子(外務省提供)
連合は7月4日、外務省に対して「2024年度連合の重点政策」について要請を実施しました。
冒頭、清水事務局長が上川外務大臣宛ての要請書を穂坂外務大臣政務官に手交し、連合重点政策の外交政策などへの反映を求めました。その中で、連合が長年取り組んでいる国際労働機関(ILO)の中核的労働基準・条約の批准に関して、日本が未批准となっている第111号条約(差別待遇(雇用・職業))の早期批准を求めました。また、在沖米軍関係者による性的暴行事件に対する事務局長談話の内容を伝えるとともに、ミャンマーをはじめとする邦人保護の強化も要請しました。
その後、則松副事務局長から国際政策に関する重点政策の項目、および要求と提言のポイントについて概説し、とりわけ以下の点を強調しました。
〇ミャンマーに対し、ILOなどの国際機関や関係諸国と連携し、人権や労働者の権利の改善につながる措置を講ずるとともに、民主化の進展を着実に進めるための積極的な支援を実施する。
・軍当局に対し、ミャンマークラフト・サービス産業労働組合連盟(MICs-TUFs)のテット・ニン・アウン事務局長をはじめ、投獄されている労働組合員全員を直ちに釈放し、ミャンマーの民主化を回復するよう求める。
・軍当局に対し、ILO憲章第26条にもとづき設置された審査委員会からの勧告に誠実に向き合うよう求める。
・少数民族や軍当局の非支配地域への人道支援を行う。
・第112回ILO総会信任状委員会の勧告にもとづき、ミャンマーの労使代表が今後の総会に正式に出席できるようにする。
〇「ビジネスと人権に関する国別行動計画」や「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」について、ビジネスと人権をめぐる状況が絶えず変化していることなどを踏まえ、実施状況や実効性などの検証を通じ、一定の期限を区切った見直しを行う。とりわけ、2025年に見直しを控えている「ビジネスと人権に関する国別行動計画」については、これまでの取り組みの検証やステークホルダーとの対話などを踏まえ、政府一体となって見直しに取り組む。あわせて、人権デュー・ディリジェンス義務化の世界的潮流を踏まえ、義務化(法制化)を見据えた議論を行う。
〇日系企業の人権デュー・ディリジェンスに関する取り組みの支援強化、および日本NCP(ナショナル・コンタクト・ポイント)の運用改善と機能強化をはかる。
〇ベラルーシ政府に対し、第111回ILO総会におけるILO憲章第33条に関する決議、および第112回ILO総会基準適用委員会特別セッションの結論を踏まえ、一向に進展がみられない同国のILO第87号条約および第98号条約の確実な履行を働きかける。
これらを受け、穂坂外務大臣政務官からは、要請内容は省内で共有したい。外務省に連合からアタッシェを派遣していただいていることに感謝しており、引き続き安全・安心な環境で勤務できるよう取り組んでいきたい。未批准のILO第111号条約については、国内法制との整合性等の課題があると認識しており、関係省庁と連携して検討していきたい。ミャンマーについては、今年1月にも要請に来ていただいたが、外務省としても暴力の即時停止やアウン・サン・スー・チー国家最高顧問の解放などを引き続きミャンマー国軍に働きかけていきたい旨の返答がありました。