続いて、赤澤財務副大臣から「幅広い分野にわたる提言をいただき感謝をしたい。昨年に続く高い水準の賃上げや過去最大規模の設備投資など前向きな動きが見えており、長年続いたデフレから脱却できる千載一遇のチャンスを迎えている、一方で、残念ながら賃上げは物価上昇に追い付いておらず、実質賃金も25ヵ月連続でマイナスであるが、トリプル改定における医療福祉分野などで働く方の処遇改善や、所得税・個人住民税の定額減税などに取り組んできた。引き続き関係省庁と協力し、『成長と分配の好循環』『物価と賃金の好循環』の実現に向け、全力で取り組んでいく」との挨拶があった。その後、冨田総合政策推進局長から要請書のポイントについて説明を行った。
要請を受け、財務省からは次の発言があった。
■給付付き税額控除について様々な議論があることは承知しているが、生活保護などの現
行制度との関係性を整理していく必要がある。また、制度導入にあたっては、正確な所
得や資産を把握するインフラの問題なども含めて、乗り越えなければならないハードル
は高いと考えている。
■所得再分配機能の強化については、これまで累次の改正を行ってきたことに加え、令和
5年度税制改正では高所得者への課税も強化している。累進性の強化については、税率
の変更や控除額の見直しなど様々な方法があり、時の経済情勢も踏まえながら検討を進
めていく必要がある。
■自動車関連諸税は、与党税制大綱において、日本の自動車戦略やインフラ整備の長期展
望、カーボンニュートラル目標の実現に向けた貢献なども踏まえた検討が必要とされて
いる。国と地方を通じて財源を安定的に確保する視点に立ち、与党内の議論を踏まえて
検討を行っていく。
■今般のトリプル改定において、医療・介護従事者の処遇改善として、ベアで令和6年度
は2.5%、令和7年度は2.0%と、定期昇給分を含めれば物価上昇に負けない賃上げの実
現に力を入れてきたことはご理解をいただきたい。
■失業等給付の国庫負担割合は、雇用情勢や雇用保険財政の状況に応じて、1/4もしくは
1/40とする前提の上で、別枠として機動的に国庫からの繰り入れを可能とする仕組み
としている。今後もこうした仕組みを通じて、雇用保険財政の安定に向けて取り組んで
いく。
■基礎年金の給付水準の見直しについては、財務省においても、次期財政検証結果を踏ま
えた議論を行っていきたいと考えている。
■教員の働き方改革については、令和6年度予算において、小学校高学年における教科担
任制の前倒し、教員業務支援員の全小中学校への配置などに取り組んできた。財務省と
しても、教員の本来の業務である「子どもとしっかり向き合って教育する」時間を確保
できるよう、働き方改革を進めていく必要があると考えている。
その後、赤澤副大臣から「政府としては処遇改善に加えて、例えば介護事業のICT化に対する補助など多くの支援策を用意している。事業者がこうした支援策を積極的に活用することで、現場で働く皆さんの負担軽減にもつながると考えており、連合からも応援をいただきたい」と述べた。
最後に、清水事務局長から「私たち自身もGXやDXに伴う産業構造の転換にしっかりと対応していく」「賃金の引き上げは、税収増を通じて国の財政の基盤ともなる。今後も健全な財政の確立に努めていただきたい」と述べ、締めくくった。
以 上