6月7日、首相官邸で「第28回新しい資本主義実現会議」が開催されました。
今回は、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024年改訂版案」について、構成員による意見交換ののち、改訂版案のとりまとめが行われました。
連合からは芳野会長が出席し、意見書を提出したうえで、(1)個人消費を基軸とする経済成長の実現には、賃上げの継続・定着と同時に、国民の将来不安を払拭し未来に希望を持ちうる政策面からの強力な後押しとメッセージが不可欠であること、(2)解雇無効時の金銭解決制度は、示談の強要などの濫用を招く懸念が極めて大きく、安易な解雇を促進しかねないことから新たな制度を検討する必要はないこと、(3)労働移動の促進については、まずは労働者自らが移動したいと思える魅力的な産業の育成と環境整備が欠かせないこと、などの意見を表明しました。
<芳野会長の発言要旨>
【持続的な賃上げについて】
〇2024春季生活闘争では、5%台の賃上げが実現し、四半世紀にわたり凍り付いていた
経済社会が動き出した。根強く残るデフレマインドを払拭し、個人消費を基軸とする
経済の自律的成長を実現するためには、生活向上を実感できる賃上げを継続・定着さ
せていくのと同時に、すべての国民の将来不安を払拭し、未来に希望を持ちうる政策
面からの強い後押しと強力なメッセージが不可欠である。
〇そうした観点から、特にわが国の構造課題である、少子高齢化・人口減少、格差の拡
大と貧困の固定化の解決にむけて、税と社会保障を一体的に抜本改革し、所得再分配
機能を強化するとともに、将来的に増加が見込まれる国民負担率の在り方について、
国民的な議論を加速させていく必要がある。
【解雇無効時の金銭解決制度の検討について】
〇改訂版案には「労働者の訴えのみ」によると記載してあるが、訴訟外で、使用者によ
る示談の強要などの濫用を招く懸念が極めて大きく、結果として不当な解雇を正当化
し、安易な解雇を促進しかねない。そうした懸念がある新たな制度を検討する必要は
なく、現在でも迅速な解決や職場環境の改善にもつながっている労働審判手続きなど
既存の制度の周知・活用を促すべき。
【労働移動の促進について】
〇まずは労働者自らが移動したいと思える魅力的な産業の育成と、そのための環境整備
を進めることが欠かせないことを改めて強調しておきたい。
以 上