連合ニュース 2024年

 
2024年05月24日
厚生労働省に対し「2024年度 連合の重点政策」について要請を実施
要請書手交の様子(左から清水事務局長、宮﨑厚生労働副大臣、三浦大臣政務官)
 連合は、5月24日、厚生労働省に対して「2024年度 連合の重点政策」の要請を実施しました。
 
 冒頭、清水事務局長が宮﨑厚生労働副大臣に要請書を手交した後、「今後の予算編成や政策課題の解決に向け、要請内容についてご検討いただきたい」と述べたのち、以下3項目を中心に重点政策要請事項の説明を行いました。
 
(1)時間外労働の上限規制の遵守徹底および「働き方改革関連法」の施行状況の検証と必要な措置の実施
(2)ハラスメント禁止規定の創設およびSOGI差別禁止法制の整備
(3)すべての労働者への社会保険の完全適用と基礎年金の底上げの必要性
 
 要請を受けた宮崎厚生労働副大臣は「2024春季生活闘争は昨年を大きく上回る水準の賃上げとなった。賃上げの流れが中小企業や非正規雇用で働く方々にも広がっていることについて、連合の御尽力に感謝申しあげる」と述べました。

 その後、宮崎厚生労働副大臣、三浦大臣政務官および関係局長等から、以下のとおり回答がありました。
(1)時間外労働の上限規制については、監督指導の徹底を通じて遵守をはかる。「働き方改革関連法」の検証については、本年1月から開催している「労働基準関係法制研究会」で議論しているが、労使の意見も伺いながら、労働基準関係法制の在り方について検討を進める。
(2)ILO第190号条約の趣旨はおおむね妥当であるが、仕事の世界におけるハラスメント禁止法制定が求められていること、保護対象にボランティア等の非雇用の者が含まれる点等について、国内法制との整合性検討が必要である。「雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会」で検討を進める。
(3)勤労者が働き方等にかかわらず、ふさわしい社会保障を享受できるようにする観点から、勤労者皆保険の実現に向けた取組を進めている。全世代型社会保障構築会議の報告書においても、短時間労働者への適用に関する企業規模要件の撤廃や非適用業種の解消が求められているところ、更なる適用拡大に向けて取り組む。また、年金については、本年は5年に1度の財政検証の年であるが、持続可能で、老後の所得保障の柱としての役割を果たしていけるよう検討を進める。
 
 その後の意見交換の中で、連合からは、(1)労働基準関係法制の見直しにあたっては、労使の力関係を是正するために制定された法の趣旨を十分に踏まえるべきこと、(2)解雇の金銭解決は導入すべきでないこと、(3)カスハラや就活ハラスメントなどの雇用関係のない者が含まれるハラスメント対策も進めるべきこと、(4)ILO190号条約批准に向けた国内法の整備は、批准済の先進諸国の対応を踏まえ検討を進めるべきこと、(5)社会保険・年金制度については、働き方などに中立的な制度構築が必要であることなどを、改めて指摘しました。
 
 最後に、清水事務局長が、「『働き方改革』を推進することは、少子化という日本の構造課題の解決にも直結する」「ハラスメント対策は、ビジネスと人権の部分からも重要課題である」「若者のためにも、持続的な社会保障制度を構築していかなければならない」と改めて強調し、締めくくりました。
以 上