連合ニュース 2024年

 
2024年04月23日
中小企業庁に対し、「取引の適正化」実現に向けた要請を実施
サプライチェーン全体の維持・確保に向けた支援の拡充や時代の変化に対応したルールづくりなど
要請書手交の様子
 連合は2024年4月20日に、中小企業庁に対し、2024年度連合の重点政策とあわせて、サプライチェーン全体の維持・確保に向けた支援の拡充や時代の変化に対応したルールづくりなど、要請を行いました。
 
 冒頭、清水事務局長から須藤中小企業庁長官に「取引の適正化」実現に向けた要請書(添付)を手渡したのち、「連合は現在2024春季生活闘争の真っ只中であり4月18日(木)に第4回回答集計結果を公表した。新たに回答を引き出した組合の8割近くを中小組合が占めるが、依然『賃上げの流れ』はしっかりと引き継がれており、2023を上回る賃上げ率を実現している。組合員の生活安定や『人への投資』と月例賃金にこだわった、粘り強い交渉の成果として受け止めている。昨年11月に『労務費の転嫁のための価格交渉に関する指針』が公表されたことは大きな成果であると受け止めているが、指針を周知・徹底することとあわせて、下請法の改正も見据えた、より踏み込んだ対応が必要であると考えている。フリーランスも含めたすべての働く者・生活者の雇用と生活を守るためにも、サプライチェーン全体の維持・確保に向けた事業者への支援の拡充など、より一層の取り組みをお願いする」と挨拶しました。
 
 具体的な要請内容については仁平総合政策推進局長から、以下の4点を説明しました。
・労務費の転嫁のための価格交渉に関する指針の周知・徹底、遵守状況の調査について
・価格転嫁に関する踏み込んだ実態調査の実施と取引慣行の改善について
・中小企業などへの各種支援策の検証と見直しについて
・時代の変化に対応したルールづくり
 
 要請を受けた中小企業庁・須藤長官からは、「連合の皆様には、日頃より中小企業庁の取り組みと協同歩調をとらせていただき感謝申し上げる。労務費の転嫁の指針は、連合の皆様からも周知に取り組んでいただいている。しかし、中小企業にとっては賃金を引き上げるための原資の確保が厳しい局面であるとの声も聞こえてくる。賃上げに向けた環境を整えるのが中小企業庁の役割のひとつであり、好循環をつくりだすことに注力していきたい。労務費の転嫁の指針は、各地方ブロックでの説明会の実施など公正取引委員会とも連携し、全国で活用いただけるようにさらに周知していく。価格転嫁に関する実態調査は、回収率が伸び悩んでいることが課題である。様々な形で重点分野を設けて尋ねていくが、複雑な調査にすると回収率が下がってしまうため、バランスをとりながら取り組む。連合の皆様からも加盟組合を通じた協力をお願いしたい。各種支援策は、コロナ禍での緊急対策から平時の対策に移行しつつある。省力化投資や新分野へチャレンジして成長する中小企業への支援策の充実など進めてまいりたい。時代の変化に対応したルールづくりは、法改正が適切な手段かどうかは検討が必要であるが、ご指摘の主旨は規制がしっかりと機能することが重要であると受け止めている。様々な調査結果や下請Gメンのヒアリング結果なども踏まえて、面的な執行の強化に努めてまいりたい。2024年3月の価格交渉促進月間のフォローアップ調査にも着手する。好循環を生み出せるよう連合の皆様とともに取り組みを進めてまいりたい」と発言がありました。
 
 最後に清水事務局長は、「大企業も中小・小規模事業者も少しずつ意識が変わってきていると感じる。労務費の転嫁の指針について、春季生活闘争の要求書に添付して提出し、経営側に対応を求めた組合もあると聞いた。『労務費』という言葉も浸透してきている。各地域で開催している地方版政労使会議は、賃上げの流れをいかに中小企業にも広げていくかが役割のひとつである。中小企業庁においても連合の取り組みにご協力いただき、感謝申し上げる。フリーランスも含めたすべての働く者・生活者の雇用とくらしを守るためにも、更なる取り組みの強化をお願いする」と述べました。
 須藤長官からは、「今年は防衛的賃上げとして実現できたが、来年は厳しいという声も聞こえてくる。中小企業の前向きな成長を応援し、持続性を保てるよう関係省庁一体となって取り組みを進めていく。連合の皆様には引き続き、ご協力とご理解をお願いする」と発言がありました。
 
以 上