連合ニュース 2023年

 
2023年11月08日
芳野会長、政府「第8回GX実行会議」で意見表明
 政府の「GX実行会議」(議長:岸田首相)の第8回会合が11月7日午後、首相官邸で開催され、連合から芳野友子会長が構成員として出席しました。今回の会合では、企業へのヒアリングのほか、くらしと産業のGXの現状とGX経済移行債が中心議題となり、各構成員から意見が述べられました。
 
 会議において芳野会長は以下の意見を述べました。
○社会全体のGX推進には、「公正な移行の実現」と「中小企業のGX」の推進も重要。今後は産業界のみならず、労働組合を含む地域の関係者との社会対話の場を設置し、複数のシナリオに基づく政策立案と課題解決に向けたロードマップを作成し、必要な予算を措置すべき。
〇中小企業の「失業なき労働移動」の実現には、サプライチェーンにおける事業の予見可能性、新規事業に対する国からの投資支援、地場企業の雇用に対する目配せなど、国・地域・サプライチェーンが協力し、複合的に中小企業を支援できる体制を検討し、中小企業のGXを推進すべき。
○GX経済移行債の「フレームワーク」が示されたが、資金使途の選定に際して「国内の人的・物的拡大」に資することも優先順位の対象とすべき。適格クライテリア(要件)と資金使途の例には、人的投資の拡大に資する具体的要件が書かれていない。「グリーンでディーセントな雇用の創出」を投資要件として明記すべき。
 
 会議の最後、岸田首相は次のとおり述べました。
○官民併せて150兆円のGX投資のうち、「くらしGX」では、国民一人一人の生活が快適になり、家計の負担が軽減される投資を進めていく。今後3年間で集中的に2兆円を支援し、くらし関連部門での民間事業者の積極的な投資を呼び込んでいく。
○「産業GX」では、世界各国がしのぎを削っており、投資競争が加速しているため、我が国としても一刻の猶予なく官民挙げて投資判断を加速させることが必要。経済成長と脱炭素の鍵を握る蓄電池、次世代自動車、半導体、水素やアンモニアといった新しいエネルギー分野について、産業分野ごとに海外の投資環境に引けを取らぬよう予算、税制、規制/制度改革などを組み合わせた投資支援パッケージを講ずる。
○GX経済移行債が2024年度より始まる。資金使途等をまとめたフレームワークが国際基準に合致しているという国際評価を得た。世界初の国が発行するトランジション・ボンドであるGX経済移行債は、産業界やアジアでの同様の取組の呼び水となることが期待されている。
○アジアでは、2050年までに4,000兆円とも言われるGX投資に世界の資金を集めていく上で非常に重要な基盤となる。本年12月、東京でアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)の初の首脳会合の開催が予定されている。国内のGX投資を成長エンジンとするのみならず、アジアの脱炭素型成長をリードするものとすべく、世界をにらんだ戦略的な取り組みにしていく。