厚労省要請
冒頭、清水事務局長から「今回の要請書には、コロナ禍における組合員の現状を踏まえた項目も多数盛り込んでいる。ぜひ仕事と生活に直結する厚生労働行政に反映していただきたい」と挨拶を行い、吉田事務次官に要請書を手交した。続いて、吉田事務次官が「国内の新型コロナウイルス感染症も落ち着き始めているところだが、現下の雇用情勢は業界によっては持ち直し始めているものの、一部の業界は依然厳しい。今後、新たな変異株の影響を踏まえつつ、状況を見ながら雇用政策を実施してまいりたい」と述べた。
その後、「コロナ禍における雇用・生活対策」などの項目について、意見交換を行い、厚生労働省からは以下の回答があった。
〇雇用保険財政は厳しい状況。今般の経済対策で一般会計から約2兆円の繰入を実施。令和4年度以降の雇用保険の財政運営の在り方について、審議会等を通じ、労使の意見を踏まえ、雇用保険のセイフティーネット機能が十分発揮できる財政運営の在り方を検討
〇在籍型出向は連合の協力も得つつ、事例の横展開による周知広報や産業雇用安定センターのマッチング支援、産業雇用安定助成金の活用促進など雇用維持に取り組む
〇マザーズハローワークや各種相談窓口で女性労働者を支援
〇補正予算案でトライアル雇用助成金拡充によるステップアップ支援やキャリアアップ助成金による正社員化や処遇改善を支援
〇補正予算で賃上げ効果が継続される取り組みを前提に介護・障害福祉職員の処遇改善として収入3%程度の引き上げの措置を2022年2月から実施
〇補正予算で看護職員の処遇改善として地域のコロナ医療など一定の役割を担う医療機関に勤務する看護職員に対し賃上げ効果が継続される取り組みを前提に収入1%程度の引き上げの措置を2022年2月から実施
〇都道府県が健康上の理由等によりワクチン接種を受けられない者を対象とし、経済社会活動を行う際の検査を2022年3月まで予約不要・無料とする支援
〇感染拡大の傾向がある場合、都道府県の判断でワクチン接種者を含め、無症状者の検査を無料とする支援
〇保健所体制の強化については、感染拡大時に保健所業務を支援することの出来る専門人材派遣の仕組みの整備や保健所の保健師の増員のための地方財政措置を講じる
厚生労働省からの回答を受けて、村上副事務局長からは「先般の連合中央委員会でも雇用保険財政について関心が高く、雇調金が役に立っているなどの声があった。雇用保険財政については現下の状況だからこそ、国の責任としてしっかり対応していただきたい」と述べた。
最後に、清水事務局長が「新型コロナウイルス感染症の影響の長期化からいまだ多くの方々が休業や解雇、離職を余儀なくされるなど厳しい状況であり、我が国のセイフティーネットの脆弱性が露呈している。今後、労働者や生活者の目線に立った雇用と暮らしを支える施策のさらなる充実・強化をお願いしたい」と述べ、締めくくった。