連合ニュース 2021年

 
2021年11月26日
芳野会長が「第3回新しい資本主義実現会議」で賃金・人的資本について意見表明
  「第3回新しい資本主義実現会議」が11月26日、首相官邸で開催され、連合をはじめ経済団体などから賃金・人的資本について意見が交わされました。
 芳野会長は、日本の賃金水準に関する主な課題に対する意見書を提出した上で、賃金の現状についての認識および連合の取り組みについて述べ、サプライチェーン全体で生み出した付加価値の適正分配および男女間賃金格差に向けた取り組みなどの徹底を政府に要望しました。
 会議における芳野会長の発言の要旨は次の通りです。
 
<会長の発言要旨>
〇日本の実質賃金は、20年間以上にわたり長期低落傾向にある。マクロ的にみると就業者一人当たりGDPの中期トレンドは緩やかに上昇しているにもかかわらず、労働者への配分が過少なため、働く者の多くは「生活がよくなった」とは実感できず、「将来の生活はよくなる」という見通しも持てずにいる。
〇日本の賃金水準は1997年がピークで、依然としてその水準には戻っていない。また、諸外国と比べ企業規模間、雇用形態間、男女間の格差が大きい。全体的な賃金水準の引き上げとともに賃金格差をより強力に是正していくべき。
〇2022春季生活闘争において、産業の「底支え」「格差是正」に寄与する「賃金水準追求」の取り組みを強化しつつ、これまで以上に賃上げを社会全体に波及させるため、それぞれの産業における最大限の「底上げ」に取り組むこと、定期昇給相当分を含め4%程度の賃上げを目安とすることなどを、12月の中央委員会に提起する。
〇すべての労働者を対象とする企業内最低賃金協定を締結し、その締結額を時給1,150円以上とすることをめざし、賃金の「底支え」に取り組む。
〇政府への要望として、企業規模間格差是正には、中小企業が賃上げしやすい環境を整えることが必要不可欠。政府が9月に設定した価格交渉促進月間の成果と課題を早急に総括し、サプライチェーン全体で生み出した付加価値の適正分配を促すべき。
〇看護、介護、保育などで働く労働者の処遇改善は賛成だが、働きの価値に見合った賃金水準の実現には不十分。政府には水準到達を後押しするより一層の取り組み強化と確実に労働者の手元に行き渡る仕組み作りを、企業には助成金等を労働者の賃上げに確実に分配することを求める。
〇男女間賃金格差の解消に向けては、勤続年数や管理職比率が格差の要因とされているが、女性の担う仕事、職務、職域がどのようになっているかなど男女雇用機会均等法の履行確保や女性活躍推進法にもとづく行動計画の策定などの取り組みを徹底するとともに、男女がともに働きやすい環境を整備することを求める。
〇賃上げは労働組合があるからこそ要求を行い、労使の話し合いで決めていくが、労働組合のない企業が日本では多数を占める。健全な労使関係の構築のためには、やはり労働組合が必要であると考える。
 
以 上