連合ニュース 2021年

 
2021年10月26日
「2021連合全国セイフティネットワーク集会」を開催
~労働安全衛生に係る注目の制度改正がテーマ~
 10月26日、連合は「2021連合全国セイフティネットワーク集会」を会場とオンラインのハイブリッド形式で開催しました。構成組織・地方連合会からは、合わせて約70名のご参加をいただきました。
 
 連合全国セイフティネットワーク集会は、労働安全衛生に関する最新情報の提供や、労働組合の取り組み事例や課題の共有化、意見交換等を目的に、1993年以来開催されています。今回は、労働安全衛生に関わる制度で数十年ぶりの見直しとなった「脳・心臓疾患の労災認定基準の改正」と「職場の化学物質の管理規制の見直し」をテーマに開催しました。
 
 冒頭、冨髙総合政策推進局長の主催者挨拶にさきがけ、これまでに労働災害で亡くなった方々に対して、参加者全員で黙祷を捧げました。
 
 集会の前半は、西村斗利・厚生労働省労働基準局補償課長より「脳・心臓疾患の労災認定基準改正のポイント」についてご講演いただきました。脳・心臓疾患の労災認定基準は2001年に見直されて以来、約20年ぶりの改正になります。新しい認定基準では、過労死ラインに達していなくても、それ以外の負荷要因がある場合には総合的に考慮して認定していくことなどについて明確化がされました。「新基準はいつから適用されるのか」という参加者からの質問に対しては、「施行日の9月15日以降全国の監督署で決定するものについて適用される」とのご回答がありました。
 
 続いて、連合労働法制局の小菅局長より、連合が2020年に行った「第10回労働安全衛生調査」の概要について事務局報告を行いました。
 
 集会の後半は、「職場における化学物質管理の課題と規制の見直し」について、木口昌子・厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質課長からご講演をいただきました。現在、職場の化学物質については特定化学物障害予防規則(特化則)等による個別管理規制がされています。しかし、化学物質による休業4日以上の労働災害の約8割が、規制対象外物質であることなどを受けて、今回約50年ぶりに見直しが行われました。今後は、危険性・有害性のある物質については、職場における自律的な管理を基軸とする規制へと方向転換していくことになります。
 
 その後は、「職場からの事例報告」として、3名の参加者の方よりご報告をいただきました。
 
 髙橋義和・UAゼンセン労働条件局部長からは、「化学物質の自律的管理で求められる労働組合の対応」について、今後は労働組合も当事者として積極的に関与していく必要があることなどを検討会委員のご経験も踏まえてご報告をいただきました。
 
 西嶋保子・日教組総合政策局労働局長からは、「学校における消石灰(水酸化カルシウム)の使用」について、運動場のラインパウダーとして使われていた化学物質が、より安全な物質(炭酸カルシウム)へと置き換わっていった経緯と背景について、化学物質は身近なところに存在している事例として、ご紹介いただきました。
 
 西野方庸(まさのぶ)・連合大阪労働安全衛生センター参与からは、「印刷会社の胆管がん発症事件から分かったこと」と題して、2011年にコミュニティユニオンが受けた相談が、胆管がんという大きな労災事案へ発展していった経過と当時の状況について、共有をいただきました。
 
 最後に、2021集会が参加者皆様の今後の取り組みの参考となり、労働災害のない職場へと繋がることを期待して、司会の小菅局長が閉会の挨拶をし、終了しました。
 
以 上
 

 
 
  • 厚生労働省 西村補償課長
  • 厚生労働省 木口化学物質対策課長
  • 事例報告(UAゼンセン・髙橋労働条件局部長)
  • 事例報告(日教組・西嶋労働局長)
  • 事例報告(連合大阪労働安全衛生センター・西野参与)