熱く語る、川人博 弁護士
連合は10月27日、シンポジウム「過労死等ゼロに向けて-働く者を取り巻く課題と労働組合の取り組み-」をオンラインで開催しました。構成組織・地方連合会から60名以上の方にご参加いただきました。
冒頭、主催者代表挨拶において村上副事務局長は、「コロナ禍での新しい働き方を含めて誰もが安心して働ける職場づくりは喫緊の課題だ。今年7月には、国の新たな『過労死等防止対策大綱』が策定され、実効性を高めるための多くの見直しがなされた。そのことも踏まえつつ、連合全体で11月の過労死等防止啓発月間の各種取り組みを力強く進めていきたい」などと述べました。
次に、厚生労働省労働基準局の石垣総務課長より、「『過労死等防止対策大綱』の変更」と題して、コロナ禍で長時間労働が常態化している業種等やテレワークをはじめとした新たな働き方への対応が急務であること、調査研究の拡充、公務員における取り組み強化や中小企業への支援など変更のポイントについてご報告をいただきました。
続いて、川人弁護士(過労死弁護団全国連絡会議代表幹事)より、「過労死のない健康な職場を」と題して、これまでの知見を踏まえ、様々な職場における長時間労働やハラスメント、コロナ禍での過重労働などによる過労死の実態を報告いただきました。川人弁護士は「労働者のいのちと健康を守るためには睡眠時間を十分に確保するためのインターバル規制やILO第190号条約(暴力・ハラスメントの禁止)の批准に向けた取り組みが重要であり、労働組合が果たすべき役割は大きい」などと述べられました。
労働組合からの取り組み報告では、はじめに連合の冨髙総合政策推進局長より本部の各種取り組みを報告し、11月から本格的に実施する「過労死等防止啓発月間の取り組み」内容を構成組織・地方連合会と確認し合いました。
情報労連の北野書記長(過労死等防止対策推進協議会委員)からは、「時短目標」を定めて各職場で取り組んでいることや各加盟組合における先進的な取り組みなどを報告いただきました。
日教組の西嶋労働局長からは、教員の労務管理の特殊性と長時間労働の実態、2019年の給特法改正を踏まえた「在校等時間」による時間管理などの取り組みについて報告をいただきました。
UAゼンセンの八野副会長は、過労死等防止対策推進協議会委員の立場から「労働組合がある職場でも労働者が過労死に追い込まれている現実を重く受け止める必要がある。今回、大綱に労働組合の役割として相談体制の整備や周知啓発が明記された。コロナ禍で心身に大きな負荷がかかっている働く仲間も多い中、労働組合がいかに寄り添うかが問われている」と述べられました。
最後に、司会の山脇労働法制局長が今後の取り組みに対する決意を述べて、シンポジウムを終了しました。
以 上