「第1回新しい資本主義実現会議」が10月26日、首相官邸で開催され、連合をはじめ経済団体、企業経営者、学者などの有識者が構成員として出席し、新しい資本主義をめぐる問題意識についての発言や提言が行われました。
芳野会長は、日本の抱える構造課題が貧困と格差を拡大し、コロナ禍が更に深刻な影響をもたらしていることを指摘した上で、持続可能な社会・経済の実現に向け、誰もが将来の生活に希望を持てる環境整備のためにも、賃金をはじめとする基盤づくりへの資源分配の必要性と、財政規律の確保を訴えました。また、あらゆる施策の検討にあたり、ジェンダー平等や多様性の観点を組み込んでいくことを求めました。
会議における芳野会長の発言の要旨は次の通りです。
<会長の発言要旨>
〇低所得で不安定な雇用の増加により、貧困と格差が広がっている。さらにコロナ禍は、パート・有期・派遣、フリーランスで働く方、女性、ひとり親など多くの方々に深刻な影響をもたらし、雇用と生活に関わる社会的セーフティネットの脆弱性が明らかとなっている。
〇こうした現状も踏まえ、持続可能な社会・経済の実現には、企業の健全な発展と安定した雇用のもとで、誰もが将来の生活に希望を持てる環境整備が必要であり、賃金をはじめとする基盤づくりへの資源分配が必要と考える。
〇特に、中小企業の生産性向上に資する人的支援や経営基盤の強化につながる働き方も含めたサプライチェーン全体で生み出した付加価値の適正分配、すなわち、適正取引の推進が不可欠だ。
〇カーボンニュートラルや「DX」対応については、新たな成長とより質の高い雇用を生み出す分野への予算・税制、規制の見直しはもとより、変革の中で生じる社会経済や雇用などのマイナス面を最小限に抑えるため、「公正な移行」の考え方に立って、政労使の社会対話など多様な主体の連携が必要だ。
〇適切な給付・職業訓練・就労支援をパッケージで提供する枠組みづくり、困難な状況にある方々に必要な支援をいち早く届けられるよう、マイナンバー制度やデジタルを活用したセーフティネットの構築の強化が必要だ。
〇あらゆる施策の検討にあたって、ジェンダー平等や多様性の観点を組み込んでいくことが求められる。
〇一方で、将来世代に対する責任にも留意が必要であり、税財政一体での取り組みとともに、いわゆる「独立財政機関」の設置など、財政規律の確保が求められる。
以上