連合ニュース 2021年

 
2021年06月23日
第109回ILO総会・第1部が閉幕
ILO労働者側理事に郷野晶子・連合参与が再選、COVID-19対応決議、ミャンマー緊急決議を採択
バーチャル開催された第109回ILO総会
 6月19日、バーチャル形式で行われていた第109回ILO総会の第1部が閉会し、休会となった。今回の総会は新型コロナウイルス感染症の影響で対面開催できないことに伴う討議時間の制約などから、2部制による開催(第1部:6月3日~19日、第2部:11月25日~12月11日)となった。
 
 第1部では、議題(不平等と仕事の世界、一般討議)、議題5(スキルと生涯学習、一般討議)以外の議題の討議が行われた。
 
 延期されていたILO理事選挙(任期:2021年~24年)では、労働者側の選挙で郷野晶子・連合参与が労働者側正理事に再選された。
 
 今総会では、ライダー事務局長が、事務局長報告「COVID時代の仕事」と、総会での採択を期待し、「包摂的で持続可能かつ回復力を持った人間中心のCOVID-19危機からの回復のための行動への世界的呼びかけ」の案を提起し、加盟国政労使が演説を行った。
 連合からは、逢見会長代行が演説を行った。6月9日にILO105号条約(強制労働)の批准のための国内法整備法案が可決・成立したことを報告し、ミャンマーで起きた軍事クーデターを非難し、民政復帰を求めて闘う市民・労働組合関係者への連帯を表明した。
 
 COVID-19の対応文書については、政労使の精力的な議論が行われた結果、「決議」として採択された。「決議」では、ILOおよび政労使の緊急行動が必要であるとして、ワクチンへのアクセスに関する協調行動も含め、2019年採択の「ILO100周年宣言」を踏まえたうえで、包摂的な経済成長と雇用、すべての労働者の保護、普遍的な社会的保護、社会対話を柱に、それぞれ求められる行動、ILOの役割を提起している。
 
 また、「ミャンマーにおける民主主義の回復と基本的権利の尊重に関する決議」が6月19日の第1部最終日に採択された。「決議」には、ミャンマーの民主的秩序と民政の回復、抗議活動への平和的参加、軍による労使とその組織、一般住民に対するあらゆる攻撃、脅迫、威嚇の中止、労働における基本的な原則と権利の回復、ILO加盟国が国連、その他国際機関、二国間の関与などを通じて、ミャンマーにおける民主主義の回復を支援することの勧告、などが盛り込まれた。
 
 そのほか、各国の条約実施状況を審査する基準適用委員会では、審議時間の制約により例年の24件より5件少ない19件が個別審査された。アジア太平洋地域の案件では、香港(第87号)、カンボジア(第87号)、モルジブ(海上労働条約)、キリバス(第182号)が審査された。
 社会的保護(社会保障)の周期的議論では、結論文書に「社会的保護が危機からの回復と将来の危機に対する回復力のための重要な要素である」との認識に基づき、普遍的な社会的保護を促進するための措置、ILO の行動手段の動員、多国間システムにおける社会的保護に関するILOの任務とリーダーシップの再確認、政策の一貫性の促進について整理され、とりまとめられた。とりわけ、社会的保護の資金調達における国際的な連帯の必要性と、「グローバル社会的保護基金」などの新しい国際的な資金調達メカニズムの設立に向けたILOの関与が盛り込まれた。
  • 逢見会長代行の演説