2021年06月16日
田村厚生労働大臣に対し、連合の重点政策に関する要請を実施
連合は6月15日、田村厚生労働大臣に対して、「連合の重点政策に関する要請を、オンライン方式で実施しました。
冒頭、酒向副会長の挨拶の後、相原事務局長が要請の内容について説明し、とくに下記の3項目を強調しました。
〇コロナ禍においても労働者が安心して就労できるよう、雇用調整助成金の休業・在籍出向制度および産業雇用安定助成金を活用できるよう必要な予算措置を講じるとともに、失業者の急増にも耐えうるよう雇用保険特別会計の国庫負担割合を原則に戻す。
〇非正規雇用の約7割を占める女性労働者がコロナ禍でより大きな影響を受けていることから、雇用の回復、喪失防止をはかるとともに、質の高い雇用への転換を進める。また、雇用・所得の不安定化や配偶者からのDV(ドメスティック・バイオレンス)の激化などにより困窮する女性への支援策として、信頼に足る公的な相談窓口の開設や直接的な支援の充実をはかる。
〇感染症禍において医療崩壊を生じさせないよう、医療・介護人材の確保を含め提供体制の充実をはかる。あわせて、負担能力に応じた費用負担で将来にわたって質の高いサービスが受け続けられる医療・介護保険制度を確立するとともに、地域医療構想や地域包括ケアの実施体制を再検討し、切れ目のないサービス提供体制の構築と必要な予算措置を講じる。
これらについて、田村大臣は、次のように答弁しました。
「雇用調整助成金など、いろいろなものが7月末まで現状のままだが、それ以降どうするかは、早い時期に決めて発表しなければならない。在籍型出向により、失業なき労働移動をしっかり進めていく。雇用保険特別会計の財政が厳しいことは指摘の通りで、しっかり対応したい。コロナ禍の影響を受ける女性労働者については、トライアル雇用やキャリアアップ助成金の対象拡大等の対応をしてきた。職がつながるよう、最大限努力したい。医療提供体制については、当面の病床確保のみならず、新たな感染症拡大をも念頭に置いて地域医療構想を立ててもらい、地域医療計画で最適な資源配分と役割分担をしてもらうようにしたい。これからも連合と連携し、雇用行政を中心に色々な政策に取り組みたい。」
意見交換において、連合は、次のような要望を伝えました。
「在籍型出向については、企業グループ内での対応をしやすくしてほしいとの意見もあり、善処してほしい。医療については、国や自治体が医療機関に病床確保や人材確保を指示できる仕組みの整備が必要。メガファーマーをもり立てることも大事であり、厚労省のリーダーシップをお願いしたい。」
これに対して、田村大臣は次のように応じました。
「在籍型出向は、より使いやすくなるよう検討したい。医療については、医療機関に指示ができる仕組みの前提として、協力要請や指示により実際に動ける体制を作ってもらうことが重要。メガファーマーについては、わが国がワクチンや治療薬で後塵を拝しているのは忸怩たる思いであり、しっかり検討したい。」
最後に、相原事務局長が「この1~2年で、社会の持続可能性と雇用の包摂が貴いものだと痛感した。ソーシャルディスタンスも大事だが、労働組合を含む関係当事者とのソーシャルダイアログ(社会対話)が大事であることも、ぜひご理解いただきたい」と述べて、締めくくりました。
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要請の様子、左から田村厚労大臣(画面)、酒向副会長、相原事務局長