要請の様子
6月1日、連合は、田村厚生労働大臣に対し、最低賃金行政に関する要請を行いました。本要請は、新型コロナウイルス感染防止の観点からオンラインで実施しました。
冒頭、神津会長が、コロナ禍の厚生労働行政の対応について謝意を述べた後、次の2点を述べ挨拶としました。
【働く者の思いに向きあうべき】
最低賃金行政を進める上では、働く者の思いに向き合っていただきたい。コロナ禍の中で、医療・介護はもとより、見えない感染リスクの中で社会生活を支えるいわゆるエッセンシャルワーカーの方の中には残念ながら処遇が高くない方もおり、最低賃金の動向を熱い思いを持って見守っている。「この状況だからこそ」ということを踏まえて最低賃金の対応をはかってほしい。
【経済の好循環に向けては最低賃金の引き上げが重要】
経済の好循環に向けては最低賃金の引き上げが重要。昨年度の引き上げ幅は僅かに留まったが、2年連続となると経済の好循環の実現がより厳しくなる恐れがある。最低賃金の引き上げ額は、公労使の審議会で決めるものであるが、政府のスタンスも影響する。日本の経済社会を前に進めていかなければならない。
次いで、石田副事務局長が、要請書にもとづき、絶対水準の低さや地域間格差といった地域別最低賃金が抱える課題や、諸外国ではコロナ禍でも最低賃金引き上げが行われている実態などに触れた上で、以下3点を強く要請しました(要請ポイント参照)。
①地域別最低賃金は、ナショナルミニマムとしてふさわしい水準への改善を
目指した目安額が決定されるよう強い指導を行うこと。
②10月1日発効に向けたスケジュール設定をはかること。
③最低賃金引き上げの確実な実施に向け、環境整備をはかること。
これに対し、田村厚生労働大臣は、「最低賃金は賃金の低廉な労働者の労働条件の下支えとして重要」と基本認識を述べた上で、「政府としては骨太方針2020において賃上げしやすい環境整備に不断に取り組みつつ、最低賃金については、より早期に全国加重平均1,000円になることを目指すとの方針を堅持するとしている。5月14日に行われた経済財政諮問会議においては、総理から『新型コロナの前に我が国で引き上げてきた実績を踏まえて、より早期に全国平均1,000円とすることを目指し、本年の引上げに取り組む』との発言もあった。政府としては、業務改善助成金やものづくり補助金など中小企業の生産性向上にむけた様々な施策に取り組んでいくが、コロナ禍で企業の先行き等が不透明である中、今年度の最低賃金審議も難しい議論となる。労働者の期待があることは認識しており、公労使3者で真摯な議論が行われるよう、円滑に対応していきたい」と述べました。
その後は、最低賃金引き上げに向けた環境整備の重要性などについて意見交換を行い、要請行動を終了しました。