連合ニュース 2021年

 
2021年04月28日
「2021 連合 税制・マイナンバーセミナー」を開催
連合は、2021年4月26日、「2021 連合 税制・マイナンバーセミナー」をWEB開催し、構成組織・地方連合会・連合事務局・一般から約180名が参加しました。
 
冒頭、中村経済・社会政策局部長より、「公平・連帯・納得」の基本理念に基づいた税制改革について、また、大淵経済・社会政策局部長より、国民生活を守るセーフティネットや公正・公平な社会基盤の構築向けたマイナンバー制度の活用促進について、連合の考え方の説明と情勢報告を行いました。
 
次に、一橋大学大学院経済学研究科の佐藤主光教授より、「我が国の税制の現状と課題:ポストコロナを見据えて」と題したご講演をいただきました。
冒頭、公債残高の累増、今後増大していく社会保障給付費など、わが国の財政上の課題について説明がなされ、社会保障財源としての消費税の重要性や、新たな税源として海外で導入が進む環境税などについて説明がなされました。その後、経済のグローバル化に対応した法人税改革や、「金融所得課税の強化」「所得控除の税額控除化」など、所得再分配機能の強化に向けた所得税改革、低所得者対策および生活困窮者へのタイムリーな支援のインフラとして「給付付き税額控除」の必要性を訴えました。最後に、今後の経済取引の変化に応じて、分かりやすく簡素な税制への転換が必要であると締めくくりました。
 
続いて、宮内・水町IT法律事務所の水町雅子弁護士より、「マイナンバーの効果とリスク~マイナンバー・デジタル庁等、昨今の政策の課題」と題したご講演をいただきました。
冒頭、マイナンバーの概要について説明がありました。悪用防止のため厳しい保護措置を法律で定め、税・社会保障・災害対策分野の3分野で利用可能とされているが、現状は正当な範囲内でも十分に活用されていないため、マイナンバー制度の効果(メリット)が発揮できるよう具体的な活用方法・遵守方法を周知する必要があるとの提言がありました。また、「マインバー」と「マイナンバーカード」について、「マインバー」は単に識別子であること、「マイナンバーカード」は、マインバー(番号)の証明、身分証明書、及びデジタル本人確認の手段になるものであり、両者の違いを広報することの重要性を訴えました。また、今国会で審議されているデジタル改革関連法案に関連し、コロナ対応の反省を踏まえたマイナンバー法改正、格差是正・社会経済維持の観点からのマイナンバーと預貯金口座とのひも付けの意義等を訴え、締めくくりました。
 
最後に、井村総合政策推進局長は、「コロナ禍で生活困窮者が増加し、セーフティーネットの脆弱さが露呈し、税制とマイナンバー制度をセーフティーネットのためにどう活用するか学習する目的で本セミナーを開催した。税制とマイナンバー制度をテーマとしているが、社会保障についても認識を深める機会と捉えることもできる。セーフティーネットを構築し、活用していくためには、わが国の経済社会のデジタル化を推進する必要がある。」と、まとめの挨拶をして、「2021 連合 税制・マイナンバーセミナー」を閉会しました。
 以 上
  • 講演する佐藤教授の様子
  • 講演する水町弁護士の様子