連合ニュース 2021年

 
2021年04月28日
2021 連合 社会保障講座(基礎編)を開催
熱弁をふるう神野直彦 東京大学名誉教授
 連合は4月27日、「2021 社会保障講座(基礎編)」を連合会館で開催し、オンラインツール(Zoom)での出席を含めて構成組織・地方連合会など約80名が参加しました。
  
 冒頭、石上副事務局長が主催者代表挨拶を行い、「コロナ禍において、私たち働く仲間の生活不安は日に日に増しており、実際に仕事を失い生活が立ち行かなくなってしまった方も決して少なくない。課題山積の現状の中で、これから働く者・生活者の立場からどのように政策提言や運動を展開していくべきか考える契機としていただきたい」などと述べました。
 
 次に、東京大学の神野直彦名誉教授より「社会保障:未来へのアジェンダ」と題して熱気あふれるご講演をいただきました。講演では、「私たちは「コロナ危機」というエポック(転換期)に生きているが、危機の本質を見誤ってはならない。パンデミックは歴史的にも社会構造はほとんど変えなかったが、社会行動の形(連帯か、利己的な競争か)を変え、その後の社会に影響を及ぼしてきた。国による再分配機能の十分に機能しない中で、社会サービスを中心にした「社会サービス国家」への転換が求められている。まさに今は転換点であって、今後拡大すべき社会システムの中心はボランタリーセクターであり、そこで大きな役割を果たすのは労働組合だ」と労働組合の役割の重要性と期待を強く訴えられました。
  
 続いて、認定NPO法人抱樸の奥田知志理事長より「コロナ禍における生活困窮者支援の現状と課題~NPO法人抱樸の現場から」と題して、現場の具体的な事例の紹介を含めたご講演をいただきました。講演では、「社会の分断はコロナ前から深刻であり、私たちは経済的困窮と社会的孤立の両方に寄り添い、解決をめざす必要がある。コロナ禍で自殺者が11年ぶりに増加に転じたことは憂慮すべき事態であって、誰もが「助けて」と言えること、ともに動いてくれる伴走者の役割が非常に重要。伴走型支援は「つながり続けることをめざす支援」であり、従来の問題解決型支援とともに両輪であるべきだ。自立は支援のゴールではなく、それぞれの自律(主体的に自分の生き方を追求すること)の支援が重要だ」など大変示唆に富むお話をいただきました。
 
 最後に、佐保総合政策推進局長が「コロナ危機の中で、連合が「社会保障構想(第3次)」で提起した「社会連帯と就労を基礎に支え合い、誰一人取り残されることのない共生社会の実現」がますます求められている。国任せではなく私たち一人ひとりが考え、行動していくことが重要だ」とまとめました。
以 上
  • オンラインで参加者に語りかける 奥田知志 NPO法人抱樸理事長